「国防上も重要」鳥取県知事が説く地方鉄道の意義 平井伸治・全国知事会会長に直撃インタビュー

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インタビューに答える鳥取県の平井知事(写真:鳥取県)

コロナ禍で業績が悪化したJR各社のローカル線を抱える全国28道府県が国に対して鉄道路線の存続・維持に向けた緊急提言を行った。

28道府県を代表して全国知事会会長を務める鳥取県の平井伸治知事および島根県の丸山達也知事、広島県の湯﨑英彦知事の3名が国土交通省を訪問。「未来につながる鉄道ネットワークを創造する緊急提言」と書かれた書面を斉藤鉄夫国土交通大臣に手渡した。

JR西日本の赤字ローカル線30線区の収支状況の発表に端を発し、全国に危機感が広がっているローカル線の存続問題。JRのローカル線のみならず今後の地方鉄道の存続・維持に向けては何が必要になるのか、平井知事にオンラインでインタビューを行った。

鉄道は事業全体で採算を考えるべき

――なぜローカル線の維持が必要なのですか。

ローカル線の維持については、昨今の社会情勢の変化や国益の観点から「全国的な鉄道ネットワークを維持すること」の重要性が増すため必要になると考えている。

――ローカル線の維持については斉藤国交大臣宛てにも緊急提言が行われました。

斉藤大臣に宛てた緊急提言では、JRが担う鉄道は、国土強靭化や国土の均衡ある発展などの観点から、国策として鉄道ネットワークを維持することが必要であること、および鉄道は全国で公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービスとしての役割があること、さらに、地方創生の点からも、鉄道は地域住民の通勤・通学等の日常生活を支える重要な交通基盤のみならず、産業振興、観光振興、関係人口の増加の面からも必要な社会基盤であるという考え方を示した。

そもそもJRによる全国的な鉄道ネットワークは、国鉄改革時に当時の不採算路線を含めて事業全体で採算が確保されるように制度設計されたもの。この事業構造が維持できないということであれば、単に路線を廃止して縮小均衡を図るのではなく、国鉄改革の実施者である国が鉄道ネットワーク維持の考え方を責務として示すことが不可欠と考えている。

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