「買わない生活」がお金を回すことにつながる理由 「本当の意味」で「お金を制する」ということ

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そうだよこれだよこれこれこれでいいじゃんよ! ……と思っていたんだが、もうまったくしつこいようだがこれはこれでまた困ったことが発生しておりまして、というのは、このようなことをすると結局は「お返し」が返ってくるのであった。それも先方は先方で、私に対抗して愛にあふれたものを送りつけて来られるので、やってくるのは実にすばらしいもの、そして私の好きなものばかりである。

ってことで、結局出しても出しても帰って来てしまうのである。

お金にまつわる悪循環を断ち切る「買わない生活」

まったくもう、これは一体どうしたら良いのであろうか。

……っていうか、もしやお金を回すってこういうことなんじゃ? お金はちゃんと回ればみんなが得をする。そうだよ考えてみればお金そのものは減るわけじゃない。ただただどこまでも回るだけなのだ。

そう信じることさえできたなら、お金を使うことに何の躊躇も不安も不要なのだ。何しろ出て行ったものは帰ってくるのである。いや帰ってこなくとも全然構わないんだが、それでも帰ってきてしまうんである。それがきっと、お金というものの持つ本質なのだ。

でも問題は、ほとんどの人がそれを信じることができないということである。だから、少しでも多くのお金を手元に貯めおこうとする。そのために一円でも安く買おうとしてしまう。でもそうなると、買い叩かれた相手はやせ細り、最後は潰れてしまう。もちろん人間関係が広がるわけもないし、使ったお金はそれっきりで決して帰ってこない。その悪循環を断ち切ることができるかどうかが、本当の意味で「お金を制する」ことにつながるのではないでしょうか。

そして、私がそれを断ち切ることができたのは「買わない生活」に目覚めたおかげなのである。つまりは、幸せに生きるのに必要なお金はほんのちょっとと知ったおかげ。自分のコップが小さければすぐに水はあふれてしまう。あふれた水は周囲を潤し、作物となって返ってくる。そのような桃源郷に私は生きているのである。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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