年後半のアメリカ景気、インフレ、円安はどうなる みずほ証券・大橋英敏氏に金融市場見通しを聞く

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アメリカのインフレと利上げの動向に世界の市場参加者の注目が集まる(写真:Bllomberg)
FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は6月に0.75%の大幅な利上げを実施、今後も利上げを急ぐ意向を示し、株価など金融市場は不安定になっている。アメリカのインフレ退治と景気の行方に関心が集まる。また、急速に進んだ円安も気になる。世界の債券・金利やクレジット市場に詳しく、長年、金融市場とそれに影響を及ぼす事象を分析してきたみずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストに話を聞いた。

インフレは収まらず0.75%利上げが続く

――インフレ退治に出遅れたFRBですが、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げを決めました。しかし、政策金利1.5~1.75%はまだ緩和的で、FOMCメンバーによる今後の政策金利見通しも大幅に引き上げられました。

インフレ退治が後手に回ったのは、コロナ禍を意識しすぎたこと、FRBスタッフの経済見通しが甘かった可能性があることに加え、中国の景気悪化を気にしていたこともあると思う。パウエルFRB議長の発言も5月中旬にはハト派的だった。しかし、5月下旬に中国が回復に向かう可能性が高まり、インフレによって景気が悪化する前に引き締めを急ぐという方針に変わったとみている。

7月も0.75%、9月も0.75%引き上げるのではないか。9月には同時にドットチャート(政策金利見通し)をさらに上方修正する可能性もある。11月、12月も利上げを行って、年末には3.5%は超えてくるだろう。(需給ギャップに対する)中立金利というのは曖昧で見極めが難しいので、潜在成長率といったほうがよいと思うが、その水準である2~2.5%を優に上回る。

回帰分析するとエネルギー・穀物・金属などの資源価格のバスケットの動きは1~2カ月遅れでCPI(消費者物価指数)に反映される。5月のCPI上昇率が8.6%だったが、ロシア・ウクライナ戦争の影響が続き4~5月も資源価格バスケットは10%前後の伸びなので、6~7月のCPI上昇率も8.6%を上回る可能性が高い。FRBは利上げを緩める理由がない。

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