政府系発行体、地方自治体、メガバンクグループの格付け見通し《ムーディーズの業界分析》


日本の12 の地方自治体の格付け見通しを「ネガティブ」に変更

サブソブリングループ
VPシニア・アナリスト、主任格付アナリスト
丹羽 由夏

 2011年2 月22 日、ムーディーズは、日本の12 の地方自治体の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。今回の格付け見通しの変更は、日本政府の格付けの見通しが安定的からネガティブに変更されたことに基づくものである。12 の地方自治体は、以下の通りである。
福岡市
福岡県
浜松市
広島県
京都市
名古屋市
新潟県
大阪市
堺市
札幌市
静岡市
静岡県

格付け理由
 日本の12 の地方自治体における格付け見通しのネガティブへの変更は、日本政府と地方自治体の強い結び付きを反映している。この強い結び付きにより、日本の地方自治体の固有の信用力(ベースライン信用リスク評価、BCA)は、狭い範囲にとどまっているが、今回の日本国債の格付け見通しのネガティブへの変更に伴い、12 の地方自治体のBCA の評価は一様に幾分弱められている。

BCA は、日本の制度的枠組み、すなわち、中央政府が地方財政をモニターするさまざまな仕組み、財政格差の縮小やナショナルミニマムのサービス提供を確保する地方交付税制度、より財政的に弱い地方自治体に支援を提供しようとする政策対応などを反映している。同時に、地方自治体の財政状況、債務の状況等から生じる違いがBCA の狭い範囲に現われている。

高い水準のBCA と、中央政府からの極めて高い支援の可能性により、日本の12の地方自治体の格付けは、日本政府の格付けに一致し、日本政府の格付けの動きと連動する。現在、地方分権(あるいは地域主権)の議論があるが、その詳細や具体的なスケジュールは明確ではない。日本の既存の浸透した枠組みを変えていくことは、時間のかかるものであるとムーディーズは考えている。

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