政府系発行体、地方自治体、メガバンクグループの格付け見通し《ムーディーズの業界分析》
JAPEX、JT、NTT の格付けを確認、見通しも変更なし
コーポレート・ファイナンス・グループ
主任格付アナリスト/VPシニア・アナリスト
臼井 規
主任格付アナリスト/VPシニア・アナリスト
臼井 規
2011年2月22日、ムーディーズは、以下の日本の政府系発行体の格付けを確認した。
-石油資源開発株式会社(JAPEX)の外貨建ておよび自国通貨建て発行体格付けA2
-日本たばこ産業株式会社(JT)の外貨建ておよび自国通貨建て長期債務格付けおよび発行体格付けAa3、JTが保証を提供している子会社JTI (UK) Finance Plc.およびJT Capital (U.K.) Plcの長期債務格付けAa3
-日本電信電話株式会社(NTT)の外貨建ておよび自国通貨建て長期債務格付けおよび発行体格付けAa1、短期格付けP-1
格付けの見通しは、JAPEXおよびJTが安定的、NTTがネガティブであり変更はない。今回の格付けの確認は、日本政府の格付け見通しを安定的からネガティブに変更したことを受けたものである。
現在のNTTの長期債務格付けは、主として同社単独の信用力に基づいているため、その格付けAa1は政府の格付け見通しの変更の影響を受けない。NTTの格付け見通しネガティブは、主要財務指標の改善に遅れが生じるのではないか、とのムーディーズの懸念を反映している。
JAPEXの格付けA2とJTの格付けAa3は、日本政府からのサポートを考慮しており、単独の信用力よりも高い。しかし、今回の政府の格付け見通しの変更が、JAPEXやJTの格付けの変更に直接結び付くということではない。これは、両社の単独の信用力が強いこと、必要に応じて政府からのサポートが提供される可能性が引き続き高いこと、さらに、両社の格付けは政府の格付けより低いことが背景にある。
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