フジテックの総会で注目、モノ言う株主の「荒技」 独自調査による反対運動は広がりをみせるか

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フジテックの関係者によれば、「フジテックは近年、関連当事者取引を減少させる方向で動いてきた」という。6月初旬には「今後は原則として関連当事者取引を行わない」という方針にも改めて言及しており、今後は類似の案件が起こらないように努めることを株主にアピールしている。

それでも、オアシスの納得は得られていない。調査に当たった弁護士に独立性がないと指摘したうえで、「長年にわたり、コーポレート・ガバナンスの原則に反する権限濫用を行ってきた内山社長はフジテックの取締役として不適格」と改めて強調した。

市場の見方も厳しそうだ。議決権行使助言会社のISSとグラスルイスもオアシス同様に社長再任案への反対を推奨。ISSはフジテックの調査について「(独立した外部の人間で構成する)第三者調査によって明らかにされるべきだ」と指摘している。

これらの状況を踏まえ、フジテックは6月17日に第三者委員会を設置して追加調査をすると発表した。委員の詳細などは未定だが、株主総会前に一定の対応策を示した形だ。こうした動きを見るに、オアシスの戦略には一定の効果があったと言えるだろう。

キャンペーンはフジテック以外にも

独自調査に基づくキャンペーンは他の企業に対しても用いられている。6月21日に株主総会が行われた日鉄ソリューションズでは、アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が特設サイトで資料を公開している。

AVIは日鉄ソリューションズに対し、4つの株主提案を実施。親会社である日本製鉄が持つ日鉄ソリューションズ株の買い取りやコンプライアンスに関する特別調査委員会の設置などを求めていた。

5月中旬には70ページのプレゼンテーション資料を公開し、政策保有株の他社比較といった数値的な情報はもちろんのこと、2017年に発生したセクハラ訴訟の際のSNS上でのやり取りのほか、現職の社員や元従業員に対するヒアリングの結果も掲載している。

結果は4件とも否決に終わったものの、アクティビストによる新たな手法の前例の1つと言えそうだ。

こうした動きが出始めたことについて、別の市場関係者は「ガバナンスに焦点が当たっている日本では、注目も集まりやすく、有効な手段になりうる」と分析する。今後、こうした方法が流行するのか、その内容をどう捉えるべきなのか、市場関係者は固唾を飲んで見守っている。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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