ホンダが一転減益、円安効果はなぜ消えた? 業績の下方修正を招いた2つの要因

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当初、国内販売は新車の投入効果で前期比2割増となる103万台を目標に掲げていたが、そのもくろみは大きく外れた。中間決算では目標台数を10万台、第3四半期決算ではさらに10万5000台引き下げ、結局、前期比3%減の82万5000台に。北米に次ぐ主要市場の中国でも、主力の「アコード」や「CRV」がふるわず、全世界では販売計画を19万台引き下げ、450万台(前期比3%増)としている。

ホンダは需要のある場所で生産・販売する”地産地消”を推し進めており、最大市場の北米では2014年からメキシコに年間生産能力20万台の新工場が稼働し、北米向けのフィットは生産を移管済み。インドネシアでも昨年に新工場が稼働した。一方、2014年度の国内からの輸出はわずか2万3000台(2014年4~12月)にとどまる。

そのため、輸出向け生産の拡大で国内販売の低迷を補うことが難しく、計画が下振れすると国内工場の操業率低下に直結する。昨年は10月から11月にかけて埼玉県の狭山工場で平日5日分の操業を休止。複数のホンダ系部品メーカーによれば、販売の低迷でかさんだ在庫解消が目的だった。

副社長が決算で反省の弁

2014年12月下旬、東洋経済のインタビューに応じたホンダの伊東孝紳社長。「最も大事なのは品質であり商品だ」だとして、過去に言及した2016年度に600万台という数字にはこだわらない姿勢を示した(撮影:田所千代美)

1月30日の決算会見で岩村哲夫副社長は、「リスクマネジメントの観点から、(生産の補完ができる)輸出車をもう少し仕込んでおいたほうがよかった」と、反省の弁を述べた。だが、国内販売で生産のほとんどを見込んでいただけに、安定的な数量が見込める輸出向け車両を簡単に用意できる状況でもない。

海外生産拠点の拡大は、為替リスクの抑制や輸送コストの削減を狙って進めてきた。しかし、今回のように予想に反して販売の計画が下振れすると、国内工場はたちまち減産を強いられるという課題も露呈した。

今後は日本でも生産の8~9割を国内向け、1~2割を輸出向けにすることで、各地域間で相互に補完し合う体制を目指す方針だ。日系メーカーでいち早く北米に進出するなど、”地産地消”の先鞭をつけてきたホンダ。改めて世界全体の生産体制をどう構築すべきか。その模索が続きそうだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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