ホンダが一転減益、円安効果はなぜ消えた? 業績の下方修正を招いた2つの要因

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2013年9月に発売した3代目フィット。発売後の相次ぐリコールは、ほかの新車販売スケジュールにも影響を及ぼした(撮影:梅谷秀司)

2013年度は営業利益が約4割増、2014年度はそれを上回る利益計画を立て、最高益を伺う勢いだったホンダ。だが、一転して減益に沈む見通しとなった。1月30日に発表した第3四半期決算では、営業利益の見通しを従来の7700億円(前期比3%増)から7200億円(同4%減)に下方修正。減益となれば、2011年度以来3期ぶりだ。

トヨタや富士重工業など自動車メーカー各社は、円安や北米の好調な販売に支えられ、過去最高益を更新する見通し。ホンダの苦戦が目立つのはなぜか。

当然、円安はホンダにとっても追い風だ。第3四半期決算では、為替の想定レートを中間期時点よりも5円円安の1ドル109円に見直した。これで営業利益で約690億円の押し上げ要因となるものの、日本や中国での販売低迷が700億円の減益要因となり、円安効果は”蒸発”してしまう。

主力車種のリコールが痛手

加えて、タカタ製エアバッグの大量リコールで膨らんだ品質関連費用の約500億円が加わり、業績の下方修正に至った。ホンダはエアバッグ搭載車のおよそ半分にタカタ製を採用する最大の取引先であるため、自動車メーカーの中で最も影響を受けている。

国内の販売低迷は、新車の品質問題が招いた結果といえる。2013年後半に日本で発売した主力車種の「フィット」で5度、「ヴェゼル」で3度と、短期間に相次いだリコール(回収・無償修理)を受けて、開発における品質チェック体制を強化。2014年度は消費増税の反動減対策として過去最多となる6車種を新たに投入する予定だったが、計画の後ろ倒しを迫られ、発売は4車種にとどまる見通しだ。

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