ロシアを積極的に批判しないアフリカの怨念 ロシアと中国はアフリカの真の独立を支援してきた

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今でもアフリカの地図を見ると、悲しい現実が見える。まず鉄道だが、積み出し港から主要都市への鉄道はあるが、それ以外の都市を結ぶ鉄道や海外と結ぶ鉄道などはない。道路もアフリカ諸国を結びつけていない。それは偶然ではない。フランスやイギリスは、西アフリカを分離するために、あえて建設しなかったのだ。

しかし今、アフリカは変わろうとしている。西アフリカも東アフリカにも、フランスやイギリスがつくった狭い国境を越えて、ひとつの大きな国をつくりたいという願望がある。そして自らの軍隊と外交権、そして通貨を発行したいという希望があるのだ。こうした希望を今支えているのが、残念ながらロシアや中国だということを忘れるべきではない。

ロシア、中国がアフリカの希望を支えている

中国やロシアのアフリカ進出は、少なくともアフリカ人の希望を充足しているのだ。とりわけ、植民地的な宗主国との腐れ縁を切るために、中ロはルーブルや元での輸出入を可能にし、鉄道や道路などのインフラを着実に建設している。西アフリカの大統領が、フランスのマクロンのところではなく、自らプーチンに会いに行くというのは、西側離れが加速していることを意味している。

GDPというおなじみの経済指標がある。この指標は「国内総生産」だが、ある国内がどれだけの生産を1年間に産み出しているかという指標である。これをドルで計算すれば、先進各国が上位を占める。しかしその内容についてみると、状況はかなり変わる。つまり実物経済の占める割合を求めると、先進国といわれる国は金融・商業・サービスが多いことに気づく。

もっと正確にいえば、グローバル化によってサプライチェーンが発達したおかげで、先進国は原料や燃料のみならず、多くの生産物を海外に頼ることができるようになったために自分でつくっていないということだ。その代わり、先進国はこれらの国に資金提供をしているのだ。

しかし、サプライチェーンが崩壊すれば、途端にGDPの実質的価値が問われる。先進国は、物質的富(アダム・スミスがいうところの使用価値だが)を、あまりにも後進諸国に依存していることがわかる。EUやアメリカなどの先進国で起きているインフレ現象は、まさに実体経済の弱さを暴露している。燃料、原料、工業生産物を自国でつくらなければ、先進国のGDPなど意味がないということだ。「王様は裸」なのだ。いくら金があっても、買えるものがなければ意味などない。

経済制裁という先進国の切り札は、両刃の剣であることを知るべきだ。金融によって後進諸国を締め付けることで、後進諸国は次第にそれに対応する経済をつくってしまうのだ。金融制裁に慣れはじめ、今ではドルやユーロでもない別の通貨で売り買いを行うようになったのである。

しかも西アフリカのように、宗主国の通貨であるユーロそして植民地通貨CFAを拒否し、生産物の輸出の拒否さえしかねないのだ。その背景には、彼らを支持するロシア、中国、インドなどの国がいる。これらの国がNOというのを手助けしてくれているのである。

このような状況は、もうローマ奴隷の反乱に近いのかもしれない。マルクスはこういう言い方をしている。「ブルジョワ階級は自らを死に至らしめる武器を研ぎ澄ましただけでなく、この武器を使う人々―すなわち近代的労働者、プロレタリアをつくり出したのである」(的場昭弘訳『新訳 共産党宣言』作品社、49ページ)。プルジョワを先進国、プロレタリアを後進国に入れ替えれば、その意味が自ずとわかるというものだ。

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