侵攻で浮かびコロナで落下、マクロンの「綱渡り」 4人の戦いとなったフランス大統領選の行方
2013年1月11日、フランス軍は突然、アフリカのマリへ侵攻した。マリ政府の要請に基づいたものだが、事前に国連などへの連絡もなかった。「セルヴァル作戦」と名付けられたこの侵攻を主導したのは、当時の大統領フランソワ・オランドであった。それから9年経った2022年2月、フランス軍はマリから撤退した。莫大な費用を費やしたマリ政府救援の大作戦は、結局アフリカ人の不興を買っただけに終わった。
しかし、この作戦は少なくともオランドにとっては一時期、神風となった。2012年に大統領に就任して以来、スキャンダルにさいなまれ、支持率が低迷し続けた大統領を救ったからだ。スクーターに乗って、大統領官邸であるエリゼ宮から愛人宅に向かう滑稽な大統領が、正義なる戦いを主張するという大茶番を演じることで、一気に人気回復を果たしたのだ。
マクロンに神風が吹いたか
しかも2015年には、パリを襲った2度の衝撃的テロ事件に対して国民全体の総力戦を主張し、頼れる大統領というイメージを植え付けることができた。これにより、再選への準備は万端のはずであった。ところが2017年の選挙では、オランドは出馬さえできない状態に追い込まれてしまったのだ。神風が早く吹きすぎたということであろうか。
ひるがえって、2022年4月10日の大統領選挙で再選を狙うマクロン大統領は、本当についているともいえる。2022年2月24日からのロシアによるウクライナ侵攻によって、一気にマクロン株が上がったからだ。2022年3月現在、マクロンへの支持率は28パーセント。2位のマリーヌ・ルペンの21パーセントを抑えてトップだ。低迷していたマクロンへの支持率が、ウクライナ侵攻で上がったことには間違いない。
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