20代男性の4割がデート未経験の「本当」の理由 「いい子症候群」の若者たちにおける恋愛観

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それって今の若者だけじゃないんじゃないか、と思う人もいるだろう。もちろんそのとおりだ。重要なのは、いい子症候群の若者にとっては、人生における重大な意思決定さえも支配してしまうほど、これらの負の感情が強いということだ。

こうした心理のうち、特に恋愛や結婚に強く影響するのは2)~4)だ。いい子症候群の若者たちは、とにかく自分に向けられた負の感情に強い恐怖心を抱いている。正確には、そこに本当に負の感情が存在するかどうかは関係なく、あくまでそういう空気を感じるかどうかの問題。彼らは人から発せられる空気を敏感に察し、自分の中でそれを増幅することで、激しい緊張感を覚える。

そのくらい人の気持ちが怖いのだから、当然、異性のそれもしかりだ。誤解を恐れずにいうならば、彼らにとって恋愛は、メンタルを不安定にするリスク要因そのものだ。

3)の自分で決められないという性向も、恋愛には不向きだ。決められないどころか、その前段階の「提案すること」すらできない。よって、そういうシチュエーション自体をとにかく避ける。そんな状態で、デートなど楽しめるはずもない。

なりゆきの出会いがなくなることが怖い

冒頭に紹介した「大学在学中に彼女(彼氏)ができないと、その後一生独り身確定」という恋愛観は、恋愛ベタだからこそ生まれたものだといえる。

基本的に大学生活では、自分から積極的に異性に働きかける必要はあまりない。アルバイトで夜中まで一緒に過ごしたり、ゼミやサークル後に宅飲みしたりすれば、おのずと異性を含めた友人たちと夜まで時間を共にすることになる。

彼らが「大学在学中に恋人を……」と焦る理由、それは「社会人になったらそんな状態はもうない」ということを知っているからだ。彼らは、社会人になっても出会いがないと思っているわけではない。なりゆきの出会いがなくなるのを恐れているのだ。

社会人になってから異性と仲良くなろうと思えば、必ず「自分から」「積極的に」「明確な意思をもって」行動しなければならない。そんな千万無量のリスクなど取れるはずがない。無理無理、自分には絶対ムリ。だったらデート経験0人でいいです。

そんな声が聞こえてきそうだ。

金間 大介 金沢大学融合研究域融合科学系教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、 東京農業大学准教授、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授、2021年より現職。主な研究分野はイノベーション論、技術経営論、マーケティング論、産学連携等。著書に『イノベーションの動機づけ:アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)など。

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