20代男性の4割がデート未経験の「本当」の理由 「いい子症候群」の若者たちにおける恋愛観

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① の「若年層男性の経済的困窮」はたしかにそのとおりだ。実際、白書では、働いている1人暮らしの男性の31.9%、女性の53.3%が年収300万円未満となっている。仮にこれで東京や大阪の大都市圏に住んでいるとすれば、可処分所得はかなり少ないだろう。

②については、男女とも、婚姻歴のない30代の独身者のおよそ4人に1人が「結婚願望なし」と回答していることが一定の根拠となっている。

ただ私は、①も含めて、いずれの解釈にも違和感を覚える。たとえば、今の若者はお小遣いが増えたらデートに誘い、減ったら誘わないということなのだろうか。だとしたら、デートはまるで何かの嗜好品みたいだ。

そこで私は、この4点に加え、あるいはその根底に、今の若者における「変なこと言って空気を乱したらどうしよう」「ズレた提案をして後で自分のせいにされたらどうしよう」という、恐怖心にも似た、人の感情に対する強い心理が関係していると主張したい。

恋愛はメンタルを不安定にするリスク要因

私は今年3月に上梓した新著『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の中で、現在の若者の行動や心理的特徴を「いい子症候群」と称して、さまざまなエピソードやデータともとに解説した。要約すると、現在の若者たちの特徴は次のとおりだ。

「いい子症候群の若者たち」の行動特性(その1)
• 素直でまじめ/受け答えがしっかりしている
• 一見さわやかで若者らしさがある
• 協調性がある/人の話をよく聞く
• 言われた仕事をきっちりこなす

こういった行動特性から、世間ではよく、最近の若者のことを「素直でいい子」「まじめでいい子」と評する。そのような姿勢から「今年の新入社員は優秀だ」と春から夏にかけて噂されることも、もはや毎年の恒例行事のようだ(御社でも言っていませんか?)。ただし、彼らは同時に次のような行動特性も併せ持つ。

「いい子症候群の若者たち」の行動特性(その2)
• 自分の意見は言わない/言っても当たり前のことしか言わない
• 絶対に先頭には立たない/必ず誰かの後に続こうとする
• 授業や会議では後方で気配を消し集団と化す
• 場を乱さないために演技する

こういった極めて消極的な姿勢を伴うことから、「素直でまじめ」「人の話をよく聞く」にもかかわらず、「何を考えているのかわからない」「自らの意識を感じない」といった不可解な印象を与える。

なぜ、彼らはそんなわかりにくい行動を取るのか。その内面にはどんな心理が隠されているのか。それを端的に表すと次のとおりだ。

1) 目立ちたくない/100人のうちの1人でいたい
2) 変なこと言って浮いたらどうしよう/嫌われたらどうしようといつも考える
3) 自分で決めたくない(皆で決めたい)
4) (自分に対する)人の気持ち/感情が怖い
次ページそれって、今の若者だけじゃないんじゃないか?
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