妊娠中に大臣就任「政治家」も産育休取る国の凄み フィンランドでは誰もが当たり前に取得する
マリンも20歳から党に入って政治に携わっているし、ほかの党首たちも10年以上政界でキャリアを積んできている。当選回数は多くなくとも、まったくの素人というわけではなく、ある程度の時間をかけて地道に党の内外で信頼と人気を勝ち取ってきているのだ。
当たり前になった政治家の産休・育休
国会に30〜40代の議員が多くなり、さらに女性議員が増えたことで、政治家に幼い子どもがいることも、出産や育児のために休暇を取ることも自然になってきている。それは閣僚であっても同じだ。
例えば、2020年9月に党首選で勝ち、政権与党の5人のリーダーの中に入ったアンニカ・サーリッコは、前政権時、妊娠中に科学・文化大臣に就任した。
当時から党首に望まれていたが、彼女は出産や家族の時間を優先したいとして出馬はせず、まもなく1年間の出産・育児休暇に入った。その間は同じ党のほかの議員が代わりに大臣をつとめた。そして復帰直後に行われた党首選に出馬し、党首に選ばれた。
彼女が産休・育休を取ったのはこれが初めてではなかった。第1子のときは、何と育休中に大臣職に任命されている。このときも党内の合意のもと、最初は同じ党の代理が大臣職をつとめ、育休復帰後、少しずつ職務をサーリッコに移行していった。
さらに5人の女性リーダーの中のもう1人、リ・アンデルソンは教育大臣をつとめているが、2020年9月に妊娠を発表し、年末から産休・育休に入り、その休暇中はやはり同じ党のほかの議員が代わりをつとめ、アンデルソンは出産から約半年で大臣に復帰している。
5人のうちのもう1人である緑の党の党首も、2021年11月から出産・育休に入った。彼女は党首選への出馬意志と妊娠を同時に発表し、その後再選された。
男性議員も積極的に育休を取っている。マリン政権で国防大臣をつとめる男性議員も父親休暇を取得したが、もはや大きなニュースになることもなく、メディアではいつからいつまで休暇に入り、その間は誰が代理をつとめるといったことのみが事務的に報道されていた。
このように最近の流れを見ていると、フィンランドの政治家や閣僚にとって、出産や育児は政治家のキャリアに負の影響を与えるものではないのだと、強く感じさせられる。
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