運に恵まれ成功する人と気づかずに逃す人の大差 点をつなぐ力「セレンディピティ」を知ってますか

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<セレンディピティで重要なのは、予想外の出会いや情報の価値を認識し、活用する能力だ。1つひとつのステップは学習できるし、後押しすることもできる。セレンディピティ・マインドセット、すなわちこの強力な影響要因に気づき、つかみ、活用する能力は伸ばすことができる。(20ページより)>

偶然の出会いが「単発的な出来事」であるのに対し、セレンディピティは「プロセス」なのである。もちろんサプライズや偶然は重要な要素だが、あくまでそれは最初のステップ。それに続く次のステップが起きるか否かは、予想外の出来事を理解し、活用する能力にかかっているということだ。

別の表現を用いるなら、他の人の目には断絶としか映らないところに、つながりや橋を見出せるかどうか。そこが重要であり、だからこそ洞察力(雑多なものを選別し、そのなかから価値あるものを見つける能力)と粘り強さ(最後までやり遂げる力)が必要とされるのである。

だが、セレンディピティ・トリガーに気づかず、「それがなにと結びつくか」がわからなければ、セレンディピティの機会は失われてしまうことになるかもしれない。事実、起こり得たはずなのに、結果的にはそうならなかったというような偶然はいくらでもあるものだ。

スポーツジムで有名人に出会うとか、好みの相手を見つけるとか、なんらかのプロンプトが出ていたとしても、点と点を結びつけることができなければセレンディピティは未遂に終わってしまうわけである。

<人生を振り返って、セレンディピティが起こり得たのに、あなたが気づかなかった(あるいは気づいていたが行動しなかった)ために未遂に終わったケースを思い出してみよう。最近、何か小さなきっかけがあれば行動できた場面で結局何もせず、後になって後悔したという経験はなかっただろうか。セレンディピティ・マインドセットを身につけるのが重要なのは、このためだ。(21ページより)>

セレンディピティ・フィールドを豊かにする

セレンディピティが生まれやすい状況は、組織、人脈、物理的空間を見なおすことによって生み出せるものだとクリスチャン・ブッシュ氏はいう。セレンディピティ・マインドセットと適切な状況を組み合わせれば、セレンディピティが育つ「セレンディピティ・フィールド」は豊かになるということだ。

『セレンディピティ 点をつなぐ力』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

繰り返すが、セレンディピティについての重要なポイントは、それが「大それたこと」だけに機能するものではないということだ。誰も気づかなかったような大きな発見や、大きなビジネスチャンスもそうだろうが、同じように日常生活のいたるところにある“ちょっとした気づき”もセレンディピティにつながっていくのだ。

極論をいえば、その点――いかなる小さな発見でさえ無駄ではないということ――を理解しておくことこそが、セレンディピティと向き合ううえでもっとも重要なのではないか? 少なくとも私は、ことあるごとに共感しながら本書を読み進め、強くそう感じた。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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