アマゾンの謎の社内資格「バーレイザー」の秘密 昇進も昇給もないけど最も尊敬される称号
バーレイザーは、採否においてスペシャルな権限を持っています。全員がイエスでノーが1人だけなら、ノーの人を説得できれば採用になります。しかしバーレイザーに限っては、ほかの人が全員イエスでもバーレイザーがノーと言ったらノーです。
バーレイザーがノーと言った人は絶対に採用しません。これは、もう確固たるルールで、このためにバーレイザーを入れているといっても過言ではありません。
なぜ、その候補者を雇う直接の上司(ハイヤリング・マネージャー)の意見を最優先しないかというと、ハイヤリング・マネージャーは、ともすると、バーを下げて採用しようとするからです。ハイヤリング・マネージャーは人がほしくてしょうがないので、「大丈夫です。私がトレーニングしますから、この人を採用してください」と言って、バーを下げた人を採用してしまう。その結果として失敗することがよく起きるのです。
それを避けるために、バーレイザーという社内資格を設けたのです。
バーレイザーの歴史
バーレイザーが日本で始まったのは2004年ごろだったと記憶しています。
2000年代の初頭、私は日本で書籍の仕入れの責任者だったのですが、同じようにアメリカで書籍の仕入れの責任者をしていた人がいました。その人がバーレイザーのアイコンを持っていましたから、そのときからプログラムとしてはもうあったのです。
バーレイザーになるには、バーレイザーコミッティーの承認を得る必要があります。
バーレイザーコミッティーというのは、アマゾンの社長や経営幹部、人事、リクルーター、ほかのバーレイザーなどから成る委員会です。
このコミッティーのメンバーが、バーレイザーの候補者が過去の採用面接で残したフィードバックを全部読んで、この人はバーレイザーの資質ありと判断した人を社員の中から選んでいきます。あまり低いレベルの人は面接を経験した回数自体が少ないのでエビデンスが少なすぎるため、選ばれません。おそらく、レベル6ぐらいから上の人たちがバーレイザー候補になるといえます。
過去のフィードバックを読んで、みんながイエスに流れそうなシチュエーションで、しっかりした理由とともにノーを言って採用を止めたことがあったとか、OLP(アマゾンの社員の行動規範)に沿って発言ができているとかを見て、この人だったらバーレイザーになれそうだという人を選ぶ。そしてバーレイザー・トレーニングに入ります。
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