規制が緩んだイタリアで「感染した日本人」の現実 マスクの着用義務解除の日から感染者が増加

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自分で勇気を持って鼻の奥にちゃんと綿棒を突っ込めるかどうか?  そこがプロの医療従事者との違いかもしれないが、それをクリアすれば信用度は同じである、というのが現在のイタリア保健省の見解ということだ。もちろん怪しい店で怪しい商品を格安で買ったりした場合は、その限りではない。ネットで検索すると、国から認証を受けているセルフテストのメーカー一覧も出てくる。

ホームドクター制度をとっているイタリアでは、セルフ検査で陽性が出たら、すぐに登録医に電話をして陽性だった旨を伝える。キットに出た検査結果の写真をホームドクターや保健所などにメールなどで送れば、陽性の届け出をしてくれる。感染した人がウロウロ検査機関へ出かけていかなくていい、というのは理にかなっていると思う。

鎮痛剤とビタミン剤が処方された

さて私は、陽性の結果が出た日の午後から熱は下がっていったものの、コロナだから外出はもちろん厳禁。ホームドクターに、高熱が3日続いたけれど今は下がっていること、動くととても疲れること、少し息苦しいなどの症状があると伝えると、イタリアでポピュラーな、普通の風邪にもよく使われる鎮痛剤とビタミン剤が処方された。息苦しいならパルスオキシメーターでサチュレーション(血中酸素濃度)を測り、毎日電話をして様子を伝えるよう指示された。

早速、近所に住んでいる友人に、買ってきてくれるように頼んだ。ついでに食料やほかの薬などの買い物もお願いした。第1波第2波の頃は、赤十字や支援団体などに連絡すれば、無料で買い物代行をしてくれると聞いたことがあったが、今はどうなんだろう。近所にとても親切な友人が住んでいて、いろいろ助けてもらえた私は幸運だった。

手渡しはできないので、友人が庭先に置いて行ってくれた買い物(筆者撮影)

パルスオキシメーターを使ってみると、サチュレーションは94だった。94以下は要注意と言われたので、ギリギリというわけだ。コロナは自覚症状がないままに、体内酸素濃度が低下して容態が急変する。2020年の3月、イタリアで毎日1000人近くもの人が次々に亡くなっていた頃、ニュースでそんなことを言っていたのを思い出し、ちょっとだけ心配になった。でも、医者が気にしてくれていると思うと安心できた。その日から陰性に戻る日まで、毎日の容態を書き込むフォームが保健所からメールで送られてくるようにもなった。

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