LINEだけじゃない!踊る「チャットアプリ」 「つながり過ぎない」のが心地いい

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人気のあるメッセージングアプリには次のようなものがある。「Viber(バイバー)」は、同社によると月間2億人以上の訪問者がいるという。日本で最も人気のあるメッセージングアプリのLINEには、1億7000万人のユーザーがいる。また、メッセージアプリ最大手の「WhatsApp(ワッツアップ)」を定期的に利用する人は7億人以上だ。

しかし、こうしたアプリがすべて多大な売り上げを上げているわけではない。たとえば、フェイスブックが所有するワッツアップの2013年の売り上げはわずか1020万ドルだった。売り上げはアプリを利用するために1ドルを支払った、一部のユーザーから得られたものだ。

楽天もフェイスブックも大枚をはたく

それでも、メッセージングアプリの新興企業の評価額は上昇しつつある。昨年2月には、日本の楽天がバイバーを9億ドルで買収した。その翌月には中国のeコマースの巨人アリババ・グループが、設立6年ほどの「タンゴ」を約10億ドルと評価し、同社に対する2億8000万ドルの投資で中心的役割を果たした。また、フェイスブックは昨年2月に218億ドルを払ってワッツアップを買収した。

投資家の命題となっているのは、次のシリコンバレーの「格言」だ。「まず、数百万人にそのサービスを使ってもらう。そうすれば、やがてカネを稼ぐ方法は見つかる」。

多くの起業家が、メッセージングアプリの理想的なモデルと考えているのが、中国で非常に人気のある微信だ。インターネット大手のテンセントが運営するサービスである。4年前にリリースされたこのアプリは、月間アクティブユーザー数が5億人近いという。ユーザーは画像のついたメッセージを送るだけでなく、ゲームをしたり飛行機のチケットやタクシーを予約したりできる。

メッセージングアプリが急速に成長しているのは、ツイッターやフェイスブックなどの人気アプリが公開型であることの反動だ、という意見もある。フェイスブックなどでは、投稿したりステータスを更新したりすると多数の人にわかってしまう。

メッセージングアプリでは「より親密なやり取りができる」。こう話すのは、ソフトバンクのベンチャーキャピタル事業、ソフトバンク・キャピタルのパートナーであるマリッサ・キャンピーゼだ。「メッセージングアプリは公開のネットワークに比べて小さくて見えにくく、また身近で信頼されている。メールの代替品のようなものだが、メールよりもよりコントロールされ、リアルタイムな感じがする」と彼女は言う。

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