SNSで測定「空気感指数」に見る日本の心配な現状 直近の日本人の感情や価値観の方向性がわかる

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年間の周期性をみると、「緊張」は新年度が始まる4月に高まり、5月から9月の休みが多い期間では「疲れ」が高い傾向にある。「混乱」は8月の夏休み時期だけは低くなる傾向にあるようだ。週間の周期性では「怒り」指標の変動が顕著で、月曜日から木曜日にかけて水準が高い傾向にあり、金曜日には減少し、土曜・日曜では極端に低くなっている、土日が休日となる会社員が多いことなどが影響しているといえるだろう。

このように、各指標の動きには、長期トレンドや周期性がある。それぞれの指標の特徴にあわせて、独自の傾向を持っている。日本の「空気感」を見るうえで、これらの特徴を排除することで、異常値を把握することができる。4月に「緊張」が高まったり、月曜日に「怒り」が高くなったとしても、それは通常の変化であり、その傾向以上に指標が変化したかどうかを把握することで、「空気感」の変化を把握することができるのだ。

2月24日に開始されたロシアのウクライナ侵攻を事例に、この変化について分析した結果を整理しよう。

ウクライナ侵攻で日本の空気感は「落ち込み」「緊張」

長期トレンドや周期性から予測される指標の水準と、実際の指標の差分を整理したものが下の図だ。データは日別の指標と予測値の差を表しており、点線が、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日を表している。各指標の実測値だけを見ると、周期性などの影響もあり、高まり幅がわかりにくいが、予測値との差を見ることで、いかにウクライナ侵攻で空気感が変わったのかを明確化することができる。

侵攻当日では、「落ち込み」「緊張」「混乱」が大きく高まっている。中でも、長期的には変動幅が少ない「落ち込み」指標が高まっていることが特徴的だ。その後、3月末まで、高い水準が続いていた。自然災害などで高まりやすい「緊張」指標も2月24日以降は高い水準になっており、4月以降も高いままだ。

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