SNSで測定「空気感指数」に見る日本の心配な現状 直近の日本人の感情や価値観の方向性がわかる
例えば「活気」という指標であれば、元気、活発、陽気、精力的、積極的、イキイキなどの感情を表している。「混乱」であれば、混乱、錯乱、当惑、自信がない、唖然、ゴタゴタなどの感情を表している。
それぞれの感情を表現している単語リストを作成し、実際の書き込み情報をもとに、統計的性質が安定するように最終的な辞書を構築した。その辞書に応じた書き込み量を毎日処理することで、6つの指標の変動を計測している。
TwitterなどのSNS利用者は、年齢層や価値観に偏りがあるのではという指摘を受けることも多い。しかし、Twitterは、日本人の4割程度が利用しているというデータもあり(NRI調べ)、ある程度の代表性はあるといえるであろう。また、今回の指標は、2017年から2021年の平均を100とした場合の相対指数としている。同じ母集団の変化幅のみを考慮することで、「空気感」がどの方向に向かっているのかを相対的に把握することができるである。
「活気」指数が2カ月以上も落ち込み
この指標をデイリーで、かつ、長期的に計測しつづけることで、直近の日本における空気感の変化や、長期的に日本人の考え方が向かっている方向などを把握できる。例えば、ロシアのウクライナ侵攻が開始された2022年2月24日には「混乱」や「緊張」が急激に高まったことが観測されている。
長期的な視点では、2016年以降、右肩上がりで高まっていた「活気」指標が、この4、5月では2割程度減少しており、物価高、円安、株安などが影響していると考えられる。過去のデータを見ても、数日間だけ「活気」指標が落ち込んだ例はあるが、2022年4月以降は、2カ月以上も低い水準で推移しており、非常に心配な傾向だ。
それぞれの指標の過去の変動を見ると、傾向を把握することが可能だ。長期トレンドでは、「活気」は拡大傾向だった。一方、「緊張」は新型コロナウイルスが流行し始めた2020年ごろから大きく拡大している。
「緊張」指標は気象災害などの影響も受けやすく、近年の異常気象の傾向も影響し、拡大傾向にあるといえるだろう。「怒り」や「疲れ」という指標は長期的には大きな変動はなく、比較的、安定している傾向にある。
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