SNSで測定「空気感指数」に見る日本の心配な現状 直近の日本人の感情や価値観の方向性がわかる

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では、こうした空気感は、そもそもどのように測っているのか。その仕組みを説明したい。

多くの社会的な現象は、その反応がウェブ上に投影されることが多い。社会的にインパクトがある出来事があれば、SNSでの投稿が増える。これらの投稿情報を使った社会的な研究が盛んに行われている。例えば、噂やデマの拡散の仕方や、個人の感情や幸福度の測定などの研究が論文として発表されている。

SNSへの投稿は最新の空気感を反映

SNSへの投稿は即時に行われることが多いため、リアルタイムで価値観の変化などを把握することができる。SNSにおける投稿で「残業して疲れた」などの書き込みが増えた場合に、その人が属している企業の業界では仕事が増加傾向にあると判断でき、業界の生産指数が拡大傾向にあると予測できるという研究もある。このようにSNS情報は科学的に定量化ができれば指標として活用できる。

今回はTwitterにおける書き込み情報をもとに「日本の空気感指数」を計測した。空気感を、「活気」「混乱」「落ち込み」「怒り」「緊張」「疲れ」の6指標で指数化している。

6つの指標は「POMS(Profile of mood states)」と呼ばれる心理学の分野で使われている心理状態を測る検査手法をもとに構築した(注:POMSとは、人々の気分や感情を測定する心理検査の方法で、各感情に関連した質問項目に回答することで気分状態を評価することができる手法。医療現場のカウンセリング、職場のストレスマネジメント、スポーツ分野のメンタルヘルス向上などに活用されている。参考論文:McNair DM, Lorr M, Droppleman LF. Manual for the Profile of Mood States. Educational and Industrial Testing Services; 1971.)。

なお、これらの指標化については、野村総合研究所と、筑波大学のシステム情報系の佐野幸恵助教との共同研究にて実施した。

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