価格高騰でもまだ買える国産旧車のダークホース TE27レビン/トレノや初代ロードスターに注目
余談だが、セイコー自動車のブースには、非常に興味深いパネルが展示してあった。それは、立命館大学理工学部 機械工学科の教授・山末英嗣博士がまとめた「車載用リチウムイオン電池に関わる資源パラドックス問題」という研究資料だ。これは、旧車をレストアして乗り続けることは、結果的に地球環境を守ることにつながるという提言をまとめたもの。近年、世界的に導入が進むBEVやFCVなどは、たしかに走行中のCO2は出さない。だが、一方で、搭載するバッテリーなどは、製造段階でリチウムをはじめ多くの資源を必要とする。そして、BEVやFCVなどの次世代自動車の数が増えれば、資源の採掘量が増大し、ゆくゆくは地盤沈下など災害の要因となる危険性もあるというのだ。
資料では、一方で、通常のガソリン車は、BEVなどの次世代自動車と比べ、総物質投入量という数値では半分以下の環境負荷となるという。さらに将来的にガソリン代替燃料(バイオ燃料など環境負荷が少ない燃料)へ旧車を適用させることで、永続的に乗り続けられるという。
古いクルマに乗ることもエコ活動のひとつ
つまり、旧車をレストアして長年乗ることは、「リサイクル」という観点からみれば、十分にエコになるというのだ。セイコー自動車の清金代表は、「BEVなどが増えること自体は、あくまでユーザーの選択肢なので、とくに悪いとは思わない。ただし、現在のように、ガソリン車ばかりを悪者扱いすることには疑問がある。もし、こうした風潮が続けば、例えば、BEVの日産『リーフ』でも、30年後にはガソリン車と同じように悪者になる可能性もある。BEVのバッテリーは年々進化しているため、以前の仕様は環境負荷が高いとみなされ、乗り続けられないといったことも起こるかもしれない。ガソリン車であれ、BEVであれ、愛車を長く乗り続けることも地球に優しいという考え方も、とくにクルマの愛好家にとっては必要だと思う」と付け加えた。
国産旧車がブームとなっている背景には、「ガソリン車に乗ることができるのは今のうち」だというユーザー心理が働いているという説もある。ここで紹介したように、人気モデルが多様化している傾向は、そうしたことが影響し、高価なビンテージカーは買えなくても、手が届く範囲で往年の名車を所有したいというユーザーが増えていることがうかがえる。急激に進むクルマの電動化に反発するかのように、今後しばらくは国産旧車の人気は続いていくことも十分に考えられる。
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