横浜中華街「聘珍樓」破産が象徴する飲食店の苦難 コロナ禍で飲食業めぐる経営環境はどうなったか

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金融機関にしても貸したままでの倒産をたやすく許容できるわけではない。金融機関とその協力業者ともに支援の度合いを高めていくだろう。そこで各飲食店業者は復活できるか、それとも運命に抗えないだろうか。少なくとも100年以上の老舗の名店が閉じるくらいにはコロナ禍における経済活動のさまざまな制約が、飲食業や旅行業などに負の影響を強く残している。

コロナ禍後に外食は復活するか

家計調査等でも外食費はコロナ禍前から3割ほど減少している。私は仕事でマッチングアプリの統計データ処理に関わったが、コロナ禍前とコロナ禍ではデート回数の頻度が減っている(約2回/月→約1回/月)。さらにデート代も減少している。これまでの時短営業や酒類提供自粛のせいだ。

飲食店に協力金や融資などを与えることによって救済するのはよかった。しかし中長期的には収益と利益を上げてくれないと無駄になってしまう。その観点からは、コロナ禍における規模によらない過剰な協力金や、逆に過剰な自粛要請は不要だったと思うが、その総括は後年に委ねられる。

繰り返すが、株式会社聘珍樓の破産がコロナ禍における負の影響だけで説明されるものではない。しかし、少なくとも、株式会社聘珍樓の実態がどうであれ、飲食店の現状を示す、ある種の象徴に感じた人は多かっただろう。飲食店の低利益、コロナ禍における落ち込み、融資の期限、そして完全な復活に向けての足踏み状態。

コロナ禍が明けるのか、本格的なウィズ・コロナ時代を迎える今、コロナ禍の遺産と私たちは対峙しつつある。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。著書も多数。

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