横浜中華街「聘珍樓」破産が象徴する飲食店の苦難 コロナ禍で飲食業めぐる経営環境はどうなったか

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そこで飲食店における経営状態をコロナ禍前からコロナ禍の現在までを見ていきたい。そこで用意したのは、飲食店の「損益分岐点比率」と「経常利益率」だ。財務省がまとめている「法人企業統計」から計算してみた。

簡単にいえば「損益分岐点比率」とは既存売上高の何%の売上高がなければ赤字になってしまうかを指している。たとえば「損益分岐点比率」が90%であれば、既存から10%の売上高減少で赤字に陥ってしまう。また、この比率が100%を超えてしまっていれば、すでに赤字であり100%を超過した分だけ売上高がアップしないと黒字にならない意味を指す。

時系列で経営分析してみると…

また「経常利益率」は売上高と対比することの経常利益の額を指す。経常利益は文字どおり、財務活動を含めた経常的な利益を指すから、企業活動の健全性を意味するとされる。

なお損益分岐点比率を計算するためには固定費と変動費の計算が必要となるため、ここでは簡易的に<固定費=人件費+支払利息等+減価償却費、変動費=売上高-固定費-経常利益>として計算した。

まずは全規模(資本金額)の推移を見てみよう。

(外部配信先ではグラフなどの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

まず「損益分岐点比率」ではグラフが下に行くほど健全で、上に行くほど不健全だ。そもそもコロナ禍前であってもこの比率は90%前後を推移している。コロナ禍になってからは190%に近い。その後は落ち着いたように見えるものの、ほぼ100%の値だ。ギリギリの水準で移行している。

次にあらためて「経常利益率」見ると驚くのは、そもそも飲食店が儲かっていない事実だ。経常利益率で見てみるとコロナ禍前の2019年でも3%未満しか出ていない。2020年のコロナ禍が始まったときには絶望的な状況になり2022年1~3月期もトントンの状況だ。

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