横浜中華街「聘珍樓」破産が象徴する飲食店の苦難 コロナ禍で飲食業めぐる経営環境はどうなったか

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ところで、冒頭であげた株式会社聘珍樓は資本金が100万円だ。そこで中小零細企業を確認しよう。残念ながら法人企業統計にこのカテゴリーがないため「1000万円以上~2000万円未満」で見てみる。グラフは割愛するが、大きな傾向としては変わらない。

コロナ融資の返済期限

コロナ禍では空前の融資ブーム、逆の立場からいえば借金ブームが起きた。国や自治体などの行政機関が金融機関を通じた融資支援策の恩恵にあずかった企業は相当数に上った。実質的な無担保・無金利(ゼロゼロ)だったから殺到するのは当然だったし、行政も生き延びる策を提供するのに必死だった。この施策は批判されるべきではない。

ただこの施策が功を奏したため、コロナ禍における2020年と2021年の倒産件数はきわめて少数にとどまった。もちろん廃業は別カウントだが、コロナ禍における金融支援が企業を生き残らせたのは事実だ。

そして元金の返済猶予期間が2年程度に設定された。つまり逆に言えばこの2022年から元金の返済をスタートすることになる。もちろん事業者と言ってもさまざまで「念のため」「余裕をもつため」に無担保・無金利の融資を受けた事業者もいる。いっぽうで、運営資金を借りる例もたくさんあったはずで、彼らからすると現在は負担が増加する時期となる。コロナ禍前であったら倒産・廃業したような店舗もコロナ禍の緊急融資で、生き延びているかもしれない。

もちろん現在はオミクロン株の影響も一段落しており、街中にいけば人波も復活基調にあるように思える。とはいえ、来客が完全に復活したわけではなく、企業の接待は感覚値としも低調なままだ。

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