活況を呈する「Jリート」 創設10年目の課題

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昨年末、馬淵澄夫・国土交通相(当時)の肝いりで始まった不動産投資市場戦略会議。報告書では自己株取得や転換社債の発行、日本版アップリートの創設など、さまざまな提言が盛り込まれた。座長を務めた牛島総合法律事務所の田村幸太郎弁護士は「Jリートはまだ揺籃期。今後はリートの独立性をどう高めていくかが課題」と問題提起する。

Jリートは現状、物件取得や人材、資金調達などの面で、資産運用会社の大株主である「スポンサー」に大きく依存している。Jリートとスポンサーは建前上、倒産隔離されているが、スポンサーの信用力を融資判断に加味する金融機関があるのが現実だ。投資家間では「スポンサー保有の悪い物件をJリートにはめ込んでいるのではないか」という利益相反に関する疑念も絶えない。

信用収縮局面に耐えうる財務体質の改善も必至だ。稼いだ利益のすべてを配当金として還元する代わりに、法人税が課されないというJリートの特性を残しつつ、一定程度の内部留保を認めるなどして、資金の再調達に伴う財務上の脆弱性を改善する取り組みが必要だろう。

日本ビルファンドなどが上場し、Jリート市場が創設されてから今年で10年を迎える。が、金融危機の影響から業界再編が進み、昨年は東京グロースリートとエルシーピーを皮切りに7組が合併。これに伴い、ピーク時には42あった上場銘柄数は35に減少した。時価総額も3兆円とピーク時の半分以下だ。国内で2300兆円とされる不動産ストックと比べると、リートという形で実現された価値は1%にも満たない。

Jリート創設の狙いの一つは、不動産と金融を結び付け、個人の金融資産を呼び込むことだったはず。しかし、個人の金融資産の大半は預貯金に滞留し、「貯蓄から投資へ」の国家スローガンは掛け声倒れとなっている。金融危機の教訓を生かし、さらなる資金を呼び込めるか。Jリートの再挑戦は始まっている。

(撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年2月26日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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