値上げの嵐「食パン」の価格は実際何円上がったか 6000店舗の情報から値上げの「実態」を大解剖

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こうした値上がりラッシュに対して、消費者はどのように生活防衛をしているのでしょうか。じりじりと値上がりが続いている食パンについて、全国15〜79歳の男女約5万2500人の当社モニターから買い物データを継続的に聴取している「インテージSCI」から見てみましょう。

「PBシフト」が鮮明に

【図表3】をご覧ください。スーパーマーケットで食パンを購入する際、PBの割合を女性20~70代に限定して集計してみたところ、さまざまな食料品の値上がりが目立ち始めた2021年10月から2022年2月においてPBの割合が増えており、「PBシフト」が起きていることがわかります。

各年代ともにPBの割合が増えていますが、年代が若くなるほどPBシフトが顕著になっています。若い世代が、上昇する食料品の支出に対して、リーズナブルなPBを上手に取り入れることでやりくりしている様子が浮かんできます。

 

家計防衛の手段は、PBの活用にとどまりません。実際、どんな方法を取っているのか、弊社の自主調査からも見ていきましょう。

【図表4】では、「食費」の節約に関する取り組みを尋ねました。半数の方があげているのが、「ポイントカードなどを利用(50%)」することです。ポイントなどを利用して「貯める・使う」を上手に行いながら買い物をしている様子が浮かびます。次いで「クーポンを利用(43%)」「チラシなどを参考にして特売品を購入(38%)」が続いています。

買い物の際には事前にクーポンの有無やチラシの特売情報などをしっかりと確認することで、できるだけ安く購入する工夫をしているようです。また、「まとめ買い(26%)」「タイムセール(21%)」、さらには食パンの際に節約の工夫のひとつとして取り上げた「プライベート・ブランドの購入(21%)」も他の食品においても多くなっているようです。

そして、5人に1人は「業務用スーパーなど大容量・安売り店を利用(22%)」をあげていることから、利用店舗・利用チャネルの使い分けも起こっていることがうかがえます。

原材料や物流費の高騰、円安、さらにはウクライナ情勢と、値上がりの不安要素は増え続けるばかりですが、生活者はさまざまな工夫を凝らして値上がりし続ける食料品に対しての家計防衛を行っているようです。こうした生活者の工夫の中には、チラシや店頭POPなど、流通・小売りの施策立案のヒントがあるように思います。

値上がりによって、暮らしはどのように変化していくのか。今後も注意深く見守っていきます。

田中 宏昌 インテージ 生活者研究センター センター長

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たなか・ひろまさ / Hiromasa Tanaka

1992年、電通リサーチに入社。1994年から電通の生活者データベースの開発に参画。2012年まで電通の消費者研究センター等に駐在し、データから社会や生活者の潮流を紐解き、コミュニケーション戦略立案や商品開発支援を担当する。2013年にインテージへ。2020年より現職。

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