値上げの嵐「食パン」の価格は実際何円上がったか 6000店舗の情報から値上げの「実態」を大解剖

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輸入小麦の価格も高騰しています。小麦は国内消費量の90%近くを輸入に頼っていることから、長らく安定した価格が続いていました。しかし、今年に入ってから値上がり感が顕著になってきました。

【図表2】をみてみると、2018年から2021年の半ばまでは、1斤あたりの価格が133~134円と大きな変動はありませんでした。それが2022年1月には141円、2月以降は144円と、徐々に値上がりの様相をみせています。

小麦粉の価格も、今年4月には前年比で107%となっています(図表1)。小麦粉に関しては、3月9日に農林水産省が政府売り渡し価格を改定し、輸入小麦価格の引き上げを発表しています。現在の算定方式となった2007年以降では、2008年10月に次ぐ過去2番目の高値水準となっています。

当初は干ばつによるアメリカ産小麦の不作などが主たる背景にありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻も今後の不安要因となりそうです。アメリカとウクライナの両国は、合わせて世界の小麦輸出量の3割弱となっていることから、今後も値上がり傾向が続くことが予想されます。

スパゲティーやそばも値上がり

小麦粉を使った食材として、今年4月にはスパゲティーの店頭販売価格が8%ほど上昇しています。また、そばも4%ほど高値となっています。スパゲティーやそばは家の中で手軽に調理できるメニューとしてコロナ禍の「巣ごもり需要」が活況でした。それがこのところの値上がりによって、食卓の風景も変わってきそうです。

飲み物では、巣ごもり需要で大人気だったレギュラーコーヒーが、昨年11月以降、107%、109%、107%、110%とジリジリと値上がりを続け、今年3月には前年同月比111%に達しています。砂糖も昨年6月頃から高止まりが続いています。また、スナックについても食用油の値上がりの影響からか2022年から値上がりが顕著になっています。

食パンをはじめとした主食系食品の値上がり、さらにはレギュラーコーヒー、砂糖、スナックと休憩のお供などにも値上がりの影響が及んでおり、こうした傾向は長期に及ぶことが予想されます。私たちの食卓に、長く暗い影を落とすことになりそうです。

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