就職ではなく「就社」してしまった中高年の行く末 誰もが自らキャリアを築ける環境作りの重要性

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さらにサービス業の中でも、人材ニーズの高い産業となると、例えば介護や保育といった業種になるが、高学歴中高年男性においては、これらの業種へ再就職意欲をもつ男性は1割に満たない状況で、多くは事務職での再就職を希望しているのが現状である。

再就職や定年後の再雇用などで、個人がキャリアを切り開くうえで重要なのは、ポータブルスキルである。ポータブルスキルを測定できるツールを提供している団体等も複数あるが、ポータブルスキルの測定において問題になるのは、客観性だ。

本人はコミュニケーション力があると思っていても、周囲の人との比較ではけっして高いとはいえない、あるいは、世間一般からみてコミュニケーション力が低くても困らない職種であれば、コミュニケーション力そのものに抱くレベル感も違うだろう。

中高年層になってからの再就職に関しては、公的機関や民間機関等、マッチングを行う際に、一律にポータブルスキルを測定し、マッチング実績と一緒にデータとして共有・活用することができれば、中高年人材のポータブルスキルの客観的評価や、適切な教育支援、質の高いマッチング支援が行えるのではないだろうか。

国をあげて支援するシンガポール

個人への支援という視点では、セカンドキャリアに向けた支援が必要である。シンガポールでは、国民のスキル習得の支援を目的に、スキルズ・フューチャーというプログラムがあり、学生向け、アーリーキャリア(若手の社会人)向け、ミドル世代向けなど、さまざまなコースが提供されている。

25歳以上のシンガポール国民には、全員500シンガポールドル(日本円換算で約4万1000円※2021年6月換算)が、プログラムのオンライン口座に支給される。40歳以上のすべてのシンガポール国民は、スキル習得プログラムの多くで最大90%の助成を受けている。

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