双子パンダ初めて食べた固形物「リンゴ」だった訳 2年3カ月ぶりに予約不要に「上野動物園の今」

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固形物を食べるまでは、母乳と人工乳だけで育った。ちょうど生後11カ月の5月23日の体重はシャオシャオが25.15kg 、レイレイが25.35kgだ。

シンシンが双子に授乳する時間は、日によって異なり、回数は1日に2~3回ほど。上野動物園によると、外で授乳したのは3月3日のレイレイへの授乳のみで、シャオシャオには、まだ外で授乳していないそうだ(5月24日時点)。母乳のほか、人工乳も継続して与えている。

シャオシャオの背中には、引き続き、安全なマーカーで緑色の線を塗っている。夜間の録画映像や監視カメラの映像で、双子を明確に識別するためだ。この線をいつ塗るかは決まっておらず、薄くなってきたら塗る。

授乳を終えて立ち去るシンシンと残された双子。2022年5月23日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会)

シャンシャンの体重が初めて100kg超え

5月はシャンシャンにも大きな動きがあった。5月15日の体重測定で101.6kgとなり、初めて100kgを超えたのだ。

また、シャンシャンは繁殖のため、6月末を期限に中国へ行く予定だったが、12月末に延期になった。東京都の小池百合子知事は5月13日の定例会見でそのことを発表し、「日中双方の専門家の渡航が(コロナ禍で)いまだに困難な状況にあるということから、今しばらく、シャンシャンは上野で活躍をしてくれるということです」と述べた。

シャンシャンの中国行き延期を発表する小池百合子都知事。5月13日(写真:東京都)

中国行きの延期はこれで4回目。雌のパンダは一般的に4~5歳頃で性成熟して繁殖できるようになる。上野動物園によると、シャンシャンの発情は5月24日時点で確認されていない。

シャンシャンは6月12日に5歳、双子は6月23日に1歳になる。過去、シャンシャンの誕生日には、観覧に長蛇の列ができた。1歳の誕生日、筆者は3時間55分並んだ。3歳の誕生日はコロナ禍で休園。4歳の誕生日は整理券を取れず、入園できなかった。

5歳の誕生日は、日曜日ということもあって混雑し、入園規制がかかるかもしれない。だが、休園や整理券で入園できないということはない。しかも、コロナ禍になってからは、観覧通路の後列からしかシャンシャンを撮影できなかったが、5月27日以降は前列でも撮影できるようになった。

シャンシャンと双子の誕生日を祝うイベントや記念企画も、上野動物園や上野の街で目白押し。コロナ対策に気をつけながら、久しぶりにさまざまな制限が解除された状況でのパンダたちの誕生日をお祝いして楽しみたい。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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