米テスラがS&P500ESG指数の構成銘柄から除外されたことで、ESG(環境・社会・企業統治)が投資家にとって何を意味するのかという新たな疑問が生まれつつある。
今や35兆ドル(約4400兆円)規模に成長
ESGの各分野において、表向きサステナビリティー(持続可能性)に配慮する姿勢を示している業界を選好することで知られるこの投資戦略は、地球温暖化や労働基準違反、差別などに関連するリスクから投資家を守る一つの手段として約20年前に登場。今や35兆ドル(約4400兆円)規模に成長したESG投資を通じて、何百万人もの投資家が「良いことをしている」との満足感を得ているが、足元では、実際に何を達成しようとしているものなのかという点で混乱している。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニアESGアナリスト、ロブ・デュボフ氏は「市場は常にESG投資とサステナビリティー目標を同一と捉えてきたが、まさにその点が浮き彫りになっている」と指摘。テスラの一件はESG投資家にとって究極の心理テストのようなものだとみている。
世界的な化石燃料からの移行という点で、イーロン・マスク氏が率いるテスラほど貢献している自動車会社は少ないという意見に異論を唱える人は少ないだろうが、同社の経営や職場環境を巡る問題が何度か浮上していることも事実だ。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、テスラの環境面での功績を認めつつも、職場の安全性や労働問題を理由にESG指数からの除外を決定した。