「それまでの転職サービスは〝待ち〟の姿勢でした。即戦力人材のニーズが拡大し、人材紹介会社に任せておくだけでは、いい人材が取れない。ビズリーチのダイレクトリクルーティングは、企業様には求める人材をデータベース上で検索していただき、直接スカウトすることができるのが特徴です」
同社の特徴の1つは、求職者のデータベースをヘッドハンターにも開放したこと。登録者には年収1000万円を超える人材がざらにいる、と思われるが、今では他社のサービスでもハイキャリア層はヘッドハンティングの対象者と、上の層は混じり合っているようなのだ。
それであれば、理解できる。一般的な転職者層とハイキャリア層とは、確かに違っているのだろう。
とはいえ、年収という一応のモノサシがあるにしても、それを超えている人材の誰もが自分をハイキャリア層と自覚しているわけではないだろう。そこには定性的な基準もいろいろあるように思えるし、みんなが自分の市場価値に敏感であるわけでもない。
「キャリア自律」とは自分の市場価値を測ること
前回も触れたが、いま転職市場では「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材」のニーズが激烈に高まっている。一般の事業会社から官公庁まで、デジタル・シフトに技術的に対応できる人材は喉から手が出るほど欲しい。
ただ、決してそれだけではない。リクルートの藤原さんはこう言う。
「新卒でずっと1つの会社に勤めていて、社内でローテーションして〝自分には専門性がない〟と思い込んでいたような人でも、例えばネットベンチャーなどであればIT職種じゃなくても多くの部署でスキルのある人材が不足していますから、〝いろいろな経験をしてきたあなたが必要だ〟みたいなことがある。自社の給料テーブルの外を見ていない、さらされていないから、実は自分の市場価値は高い、ということがわからない。それに気づいていただくのはスカウトの価値だな、と思うことはあります」
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