真波さんが髪をかき上げると、白い耳にたくさんのピアスホールの名残が見えた。
今はあまり着けていないが、ホールは23個もあったという。耳だけでなく舌ピアス、牙ピアス、腕ピアスの経験もあると笑う。「腕に着けるときは、こう、皮膚の下にピアスをくぐらせるようにして留めるんですよ」と細い腕を見せてくれた。
「……ピアスを開けるのは、自分に意地悪するような気持ちもあったかもしれません。リスカするくらいならピアスにしよう、みたいな」
高揚感が見え隠れする「容姿の貧困」
今、ピアスの煌めきは整形医のメスの輝きに代わり、真波さんは渦巻く懊悩を身体の痛みに置き換えてなだめているようにも見える。同時に、彼女にとって整形とは、“傷つけるも昂らせるも、我が身、我が胸を誰よりも自由にできるのは自分自身”だと言い聞かせるような行為にも思えた。
側から見れば十分に可愛くとも、自身が納得のいく“可愛い”に手を伸ばし続ける彼女は、いくら頬張っても満たされない“容姿の貧困”に喘いでいるようでもある。だが、そこには空腹ゆえの高揚感も垣間見え、実際真波さんはとても楽しげだ。
「最近は使命感というか、フォロワーさんに応えるために施術を受けることも多いですね。だから、“この施術、やったことありますか?”って訊かれて、“あー、やってない! 今度受けに行くわ!ごめん!”みたいになると、せっかく頼ってくれたのに申し訳ない気持ちになってしまって。
私、小さいころは“物知り博士”と呼ばれていて、人に頼られたら全力で答えてあげたいタイプなんです。答えられないことがあると、本当に悔しくて。
とりあえず来週はホクロを取りに行ってきます。ホクロ除去はやったことがないので、顔のこれと、胸にちょっと大きいのがあるのでそれも取ってみようかと。みんなが最初に行く大手クリニックなんですが、私は行ったことがなかったので、そこを知らないのはな~と思いまして」
真波さんにとって、今や整形はライフワークと言っていい。
同じ思いの人の道標となるべく、宝の地図を描き残すような整形に、今日も彼女は挑んでゆく。
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