そこまで恐ろしい思いをしても、なぜ整形を続けるのか。ふと漏らしてしまった「メイクでは駄目なの?」という私の問いに、真波さんは頷いた。
「駄目なんです。私はそんなにメイクが上手じゃないし、そこをがんばるよりは元の顔を可愛くしたほうがいいなって。もしメイク路線に行くとしても、それは顔を整えてからだと思っています。なんだろう、整形前から自分に注目してもらいたい、自分を認めてもらいたいっていう気持ちがすごく強くて、顔に対しての意識もどんどん高くなっていって……。だから、怖い思いをしても、借金をしてでも整形したいっていう思いがあります」
真波さんは整形費用を賄うために消費者金融3社からそれぞれ60万円ずつ借金し、つい先日返済を終えたばかりだという。夜の仕事の経験もある。今はIT関連会社に勤務し年収500万円を得ているが、「やりたい施術がありすぎて全然足りません」と苦笑する。
笑い、考え、ハキハキと話す。表情豊かな真波さんの顔は、どこから見ても美しく魅力的だと私は思った。それでも彼女は首を振る。
「400万もかけて普通の顔」という悩み
「よく“もう完成?”って訊かれるんですけど、完成かって言われたら、そうじゃないよって。この顔を自分の最終形態だとは思っていないし、この程度で極めたと思われたくないんです。私がよく見ている整形アカの人たちはすごくレベルが高くて、みんな芸能人なみの容姿を目指しています。彼女たちと比べると、“私の顔って、普通にいるくらいの顔だな。400万かけて普通の顔だもんなぁ”って思ってしまって……」
大金をかけて華やかな顔貌を手に入れた人は目立つが、メスを入れたことを悔やむ人はいないのだろうか。
「“実は私は後悔してます”っていう人もいますが、それは失敗して……というほうが多いですね。整形の失敗って、機能的なものと審美的なものの二通りあるんですが」
真波さんいわく機能的な失敗は、目が閉じなくなったとか、血が止まらないとか、二重を全切開したはずなのに一重のままといったケースで、そうした場合、処置はしてくれても返金となると難しいようだ。また、美容クリニックは訴訟慣れしているので、法廷で争ったとしてもおそらく勝つのは容易ではない。
審美的な失敗は自分が希望する仕上がりにならなかったケースだが、人に「おかしい」と言われても本人は気に入っている場合もあり、「何をもって審美的失敗になるかは、もうちょっと深掘りしていかないとわからない」と真波さんは言った。
人から見て異様でないか。それとも自分が見て満足か。真波さん自身も施術当初は「すごく可愛くなった!」と思ったものの、しばらくして「えっ、これやばいでしょ」と焦ったことがあるという。
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