ピアニスト「反田恭平」が飛び抜けている理由 新しい形でオーケストラを運営する意味とは?
5月10日のコンサートでは、反田氏によるショパンの楽曲のほか、会場の聴衆がJNOを指揮できる演目、反田氏が指揮を務めるピアノ協奏曲などバラエティーに富んだものとなった。ピアノ協奏曲でソロを弾いたのは2012年に日本音楽コンクールで反田氏とともに1位に輝き、今も“バディ”として音楽活動を共にする務川慧悟氏。
一般的なコンサートでは2人のピアニストの演奏を聴ける機会はあまりない。またアンコールでは2人による連弾も行われ、両氏のファンのみならず、日頃クラシックに親しんでいない人にとっても楽しめるコンサートとなった。2023年には両氏の連弾コンサートツアーが開催される見込みだそうだ。
ウクライナを始めとする世界情勢について
最後に、ウクライナを始めとする世界情勢についても思いを聞いた。
「ロシアにもウクライナにも友達がいるので複雑な気持ち、いたたまれない気持ちということしかありません。僕がすごくお世話になった先生もウクライナ人による曲をロシアで弾いて捕まってしまった。音楽と政治をくっつけてはならないが、難しいですね。ショスタコーヴィチなど、戦争を背景に作品をつくった作曲家もいます。今そういうことがまた起こってしまっているのかな。不思議な時代と感じています。だから自ら進んで音楽で発信したりはなかなかできないし、何をすればよいかもわからない。でも、たまに演奏しているときに、そういうことをこっそり思ったりすることはあるんです」(反田氏)
音楽に国境はないと言われる。ベートーヴェンの第九交響曲では「すべての人は兄弟になる」と歌われる。コロナ禍では多くの人が音楽に救われた。音楽とは善なるものであり、人の心を結びつける力を持つ。しかしそれゆえに、権力に利用され翻弄される悲しい時代もあった。再びそのときが来たのだろうか。
この日会場に響いた音に、言葉にならぬ思いを受け取った人は多くいることだろう。
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