倍率180倍「日産×高萩」車中泊実証が人気の訳 「アウトドアの町」が描く新たな観光ニーズ

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観光協会には「海岸でのバーベキューやオートキャンプについての問い合わせが以前からあった」(佐藤氏)といい、一部では公共施設などで車中泊をする人もいたようだ。

ただし、明確にルール化されていないこともあり、利用のマナーはもちろんのこと、住民とのトラブルを心配して利用者側の心の負担になっているケースも少なくなかったという。 

2次交通という別視点から見ても、例えば紅葉シーズンに高萩市内のスポットを巡る方法があまりなく、それならばクルマで移動して、その中で泊まるという車中泊スタイルが受け入れやすいと考えられる。

「アウトドアの町」が「車中泊の町」になる!?

2次交通については、同じ茨城県内の茨城交通と連携し、2022年1月からスマホアプリを使ったオンデマンドバスサービス「MyRide のるる」の正式運行が始められている。AI(人工知能)技術を使った最新の配車サービスで、既存のバス停のほか、仮想バス停を多数設定し、利用者の利便性を高めたサービスだ。

AIを活用したオンデマンドバスの「のるる」。JR高萩駅前にて(筆者撮影)

運行時間は、平日8:30~15:00、土日祝9:00~14:00。使用するのは、ミニバンではなく一般的なサイズの公共バスだ。料金は1乗車・大人300円、小児(小学生以下)150円。「のるる」は市内のかなり広いエリアをカバーしており、オンデマンドバスとしては全国各地の事例の中でも、住民の利便性がかなり高い印象がある。

ただし、観光需要とのマッチングを考えると、自家用車による移動の利便性が勝るのは当然だ。こうした2次交通による知見も、高萩市での車中泊に関する今後の政策に活かされるだろう。

細金氏は「高萩市が観光の最終目的ではなく、クルマ旅のうちの1泊か2泊を車中泊で過ごして、いろいろな体験をしていただけたらと思う。または、ここ(JR高萩駅)まで電車できて、車中泊ができるレンタカーを貸し出すなどさまざまな方法を模索し、いろいろな形で情報発信を行っていきたい」と、車中泊を通じた新たな観光振興の可能性を具体的に示してくれた。

“アウトドアの町・高萩”はこれから、“車中泊の町・高萩”へと進化するのかもしれない。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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