NFTを「知ったかぶり」している人が見落とす本質 「8億円のドット絵」を生むNFT売買のカラクリ
ほかの誰のものでもない、自分だけのデジタル作品という目新しさと、ブロックチェーンがついにアートの世界に進出したという話題性もあって、マーケットプレイスでやりとりされる市場価格はどんどん跳ね上がります。2021年4月にはついに、ただのドット絵1点に4200ETH(当時のレートでおよそ8億2000万円!)もの値がつき、大ニュースになったのです。
NFTをさらにメジャーにしたのは、育成ゲームの「クリプトキティーズ(Cryptokitties)」です。ユーザーが「デジタルにゃんこ」を育成・繁殖させると、次々と新しいにゃんこが誕生します。そうして生まれた新種のにゃんこはどれも、ほかのにゃんこたちとは微妙に異なる、唯一無二の存在です。
最大の特徴は、繁殖を決める遺伝アルゴリズムを、イーサリアムのスマートコントラクトで自動化したところです。ランダムな組み合わせで生まれてくるにゃんこたちは、ほかと被らないようにあらかじめ設計されているわけです。
自分だけの「一点物」のにゃんこたちの存在は、折しも2017年のICOバブルに殺到していたユーザーたちのコレクター魂に火をつけました。大量のユーザーが大量の取引を一斉に行った結果、売買に使われるイーサ(ETH)の処理能力が追いつかず、マーケットに大混乱を巻き起こしたのです。
クリプトキティーズは順調に成長を続け、世界的なブロックチェーンゲームの先駆けとなりました。クリプトキティーズの運営元であるダッパーラボ(Dapper Labs)は、NBA公認のNFTトレーディングカードゲーム「NBAトップショット」も手がけていて、ブロックチェーンゲーム業界の注目のプレイヤーです。
唯一無二のトークン、とは?
ところで、NFTの「唯一無二のトークン」とはどういう意味なのでしょうか。
ビットコインからその他のアルトコイン、イーサリアム・プラットフォーム上で発行されるトークンに至るまで、ブロックチェーン上で扱われるあらゆるコインは、「このコインは自分のもの」といって取り出せるものではありません。
ブロックチェーンは「誰から誰へいくら移動した」という取引(トランザクション)が記録された「台帳」にすぎないからで、Aさんが1コイン持っているといっても、そのコイン全体のうちの「1コイン分」を移動する権利を持っているにすぎず、その1コインにAさんの名前が記されているわけでもありません。
しかし、NFTは、この世にたった1つしかない唯一無二の「一点物」のトークンなので、「この画像は自分のもの」と宣言することができます。この画像とあの画像が「別の画像」であることは見ればわかるので、1つ1つの画像の持ち主が決まっていても、別に不思議でもなんでもないからです。
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