「経済的弱者は自己責任」論争の知られてない本質 新自由主義者は「助ける必要ない」とは言ってない

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具体的には、護送船団方式を廃して各企業が自己責任で経営判断すべきだとか、各人が自己責任で起業する精神を持つべきだとか、各人が自己責任で自分の資産を運用すべきだとかいった場合ですね。自己責任でやって失敗したら、他人のせいにできない、ということにはなりますが、だからといって、現在、「弱い立場」にある人、フリーターとかワーキングプアの人が自己責任でそうなった、ということにはならないでしょう。

「新自由主義者は、ワーキングプアとかフリーターとかニートなどは、自己責任で現在の状態に陥ったので、助ける必要はないと言っている」というのは、ネオリベ批判の人が類推で言っているにすぎず、新自由主義者と名指しされている人たちが、「弱者は自己責任で弱者になった」と言っているわけではありません。どうもそこを勘違いして、意味のない批判をやっている人が多すぎます。

普通のおじさんが新自由主義者?

♂:でも、ニートやフリーターの若者が増えているのは、現代の若者が夢ばかり追っているからだとか、こらえ性がないからだとか思っている年配の人が多いと言われていますよね。

仲正:それは、昔からある「今時の若者は……」という話でしょう。そういうことを言っている普通のおじさんが新自由主義者ですか? 自分の娘や息子ならいざ知らず、メディアで報道されるよその若者の状況に対して冷たいのは、ありがちの話でしょう。別に、新自由主義の影響など受けなくても、若者が職を見つけられないのは自業自得だと何となく思うものじゃないですかねぇ。

♂しかし、新自由主義のおかげでそういう冷たい風潮が蔓延している、とは言えませんか?

仲正:それって、言ってしまえば「新自由主義」には洗脳効果がある、という話ですね。政府や大企業のトップが新自由主義的な精神で政策を実行したり、企業を経営したりしたとします。でも、だからといって、その影響で普通の会社員の間にも新自由主義的なメンタリティが浸透した、というのはあまりにも大ざっぱで、論証のしようがない話です。かなり粗悪な疎外論ですよ。

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