パナソニック、車載用”秘密兵器”の実力 自動車の運転体験が大きく変わる?
センターコンソール部分には、11.6インチの大型タッチスクリーンが設置されていた。このスクリーンでは、傘下のインターネットラジオ会社「AUPEO」のサービスを介し、好みの音楽を聞いたり、ナビゲーション、ニュースや天気予報などの情報を表示したりできる。空調などの制御もこの部分が担う。ナビゲーションの地図は、メーター側に立体図、センター側に平面図を表示するなど、かぶらない工夫を施していた。
センターコンソール部分で特徴的なのは、下位部分にコントロール用ノブが付いていたこと。タッチパネルだけでなく、ノブの回転による操作も加え、情報のアクセスの自由度を増やしたという。これら3つのディスプレーの役割分担は、完全に定まっているわけではない。「自動車メーカー側の要望に応じて、自由にカスタマイズできる」(担当者)という。
普及への2つのハードル
3つのディスプレーは「単品としての自動車メーカーへの納入実績はあるが、統合されたeコックピットとしての納入実績はまだない」(同社)という。本格的な営業活動はまさにこれからだ。
普及の課題の一つは、3つのディスプレーの一体としての魅力をどう訴求するか。自動車メーカーにとって、「運転席周りは自動車全体の設計に深く関わる部分。一体で提案されても、なかなか導入しにくい」(開発担当者)との声も上がる。何より最終ユーザーである運転者からの支持拡大がカギとなる。
もう一つは価格。ヘッドアップディスプレーなどは他社からもすでに市販されているが、価格面がネックで普及しているとはまだ言い難い。パナソニックASアメリカ社のトマス・ゲッパート社長は「クラスターとヘッドアップディスプレーなどの表示でかぶっている部分をできるだけ減らし、デバイスを削減することでトータルとしてのコストを下げていく」とその戦略を話す。
運転席周りに限らず、自動車市場では部品を組み合わせて納入するモジュール化が進んでおり、そのための部品メーカーの再編も相次いでいる。パナソニックにとっては、車載向けの製品群の広さは強みで、オーディオ、ビジュアル分野での実績も他社をリードする。ただ、それが次世代コックピット市場の覇権に直接つながるわけではない。新市場を制するのはどこか、競争は始まったばかりだ。
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