スタートアップ企業が参入、電動バイクの行方 航続距離や充電時間の長さをどう解決するのか

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AAカーゴのリヤビュー(筆者撮影)
AAカーゴのリアビュー(筆者撮影)

AAカーゴの主な特徴は、一般的な宅配用バイクのようにルーフを備えていることだ。雨天時にも運転者があまり濡れることなく、荷物などの運搬ができる。安定性が高いフロント1輪、リア2輪の3輪構造を採用したほか、リアサスペンションには、4輪車のダブルウィッシュボーンを発展させた左右独立懸架式を装備。悪路や段差でもスムーズで安定した走行が可能だ。前後ディスクブレーキや13インチ大径ホイールなどの装備により、初心者からベテランライダーまで対応する高い安全性も確保する。

荷台には荷物収納用ボックスも取り付け可能(筆者撮影)
荷台には荷物収納用ボックスも取り付け可能(筆者撮影)

車体後部には、長さ575mm×幅570mmの大型でフラットな荷台も備えることで、多様なタイプの荷物収納用ボックスにも対応する。なお、デザインはイタリア、生産は神奈川県相模原市にある自社工場で行っている。

ラインナップが全4タイプ

ドミノ・ピザ・ジャパンが宅配用に使用しているAAカーゴ(筆者撮影)
ドミノ・ピザ ジャパンが宅配用に使用しているAAカーゴ(筆者撮影)

ラインナップには、原付一種(50ccバイク相当)の「α」と、原付二種(125ccバイク相当)の「β」があり、共通の車体に搭載するバッテリー容量を変えた各2タイプ、計4タイプを用意する。例えば、最もバッテリー容量が小さいモデルは原付一種の「AAカーゴ α4」。搭載するバッテリーの容量は3.85kWhで、1充電あたりの走行距離は89km(30km/h定地走行テスト時の値)。一方、最もバッテリーが大きい原付二種の「AAカーゴ β8」では、容量7.7kWhのバッテリーを装備し、1充電あたりの走行距離は89km(60km/h定地走行テスト時の値)から149km(30km/h定地走行テスト時の値)。バッテリーは車体固定タイプで、充電は標準装備の充電ケーブルにより200Vコンセントから行う。

AAカーゴの運転席まわり(筆者撮影)
AAカーゴの運転席まわり(筆者撮影)

また、オプションの100V用充電ケーブルを使えば、家庭用100Vコンセント(アース付き)からも充電ができる(いずれも普通充電)。充電時間は、200V普通充電の場合、α4が約3時間で、β8が約6時間。100V普通充電の場合は、α4が約6時間、β8では約12時間だ。なお、価格(税込み)は87万7800円~109万7800円だ。

AAカーゴの販売先は主に企業だ。実際にショーでは、「DHLジャパン」が荷物集配用、「ドミノ・ピザ ジャパン」が宅配用に導入した車両を展示。また、福岡の「イワタダイナース」が運営する地場の宅配ピザ店「ピザクック」の業務車両も並べられた。いずれも荷物収納用ボックスには、導入企業のロゴやイメージキャラクターなどが入れられており、荷物などの運搬だけでなく、走る広告塔としての役割も果たす。

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