西新宿「ハイアット東京」、KKRが優先交渉権取得へ 日本の不動産投資に「外資ファンド」の大波続く

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ハイアットリージェンシー東京に隣接する小田急第一生命ビル。少数持分を保有する第一生命の動向が先行きを左右する(記者撮影)

KKRはグローバルでPE(プライベート・エクイティ)や不動産に投資しているが、日本における不動産投資は手薄だった。そこで2022年3月にJリート(上場不動産投資信託)運用会社の三菱商事・ユービーエス・リアルティの買収を決定するなど、日本の不動産への関与を強めている。

ハイアットリージェンシー東京の取得が実現すれば、日本での不動産投資の本格化を印象づけることになりそうだ。

一方で、ハイアットリージェンシー東京に接する「小田急第一生命ビル」については、少数持分を保有する第一生命の動向が左右する。第一生命は土地の2.5%、オフィスビル建物の5%の持分を保有しており、「第一生命はほかの入札参加者に先立って、小田急のオフィスビル持分を取得できる権利を有している」(関係者)ためだ。

今後、第一生命が取得の意向を示した場合、KKRはハイアットリージェンシー東京とホテル小田急のみを取得する方向で交渉が進むとみられる。

KKRの資金調達にも注目

ホテル単独か、オフィスビルとの両方かにかかわらず、KKRが取得する場合は資金調達方法に関心が集まる。

不動産ファンドは通常、自己資金だけでなく銀行からも調達する。低金利で多額の融資を引けるほどリターンも大きくなるためで、ファンドによっては取得額の8~9割を融資が占めることもある。

気がかりなのは、「KKRに対する金融機関の心証が悪化している」(不動産関係者)点だ。3月に事業再生ADRを申請した大手自動車部品メーカー・マレリHDについて、親会社であるKKRの責任を問う声が金融機関から出ているためだ。

今回の入札では、KKRが運用する不動産ファンドが資金を拠出するとみられる。この点、マレリHDを買収したPEファンドとは異なり、不動産という担保も存在する。それでも、「同じKKRであることに変わりはない」(銀行関係者)。取得資金をどのように賄うかも関心事となりそうだ。

2021年10月、近鉄HDはブラックストーンに「都ホテル」など8ホテルを売却した。2022年9月には西武HDもシンガポールの政府系ファンドGICに「プリンスホテル」など31施設の売却を予定する。外資系ファンドによる老舗ホテルへの投資熱は、冷めることを知らない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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