転職するだけが、キャリアアップではない 希少なスキルはやり切ることで身に付く

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まず最初の経営コンサルタントですが、私自身は自分をコンサルとは位置づけてはおりません。しかし、そのように分類される業界に身を置いている者の実感として、総合型や何かの機能(たとえば人事や税務など)に特化したコンサルなどの区分けはあるものの、仕事のやり方という視点で大きく分けると、ハンズオフ型のアドバイザー型コンサル、ハンズオン型の実践型コンサル、リサーチを得意とする調査系コンサルの3種類があると思います。当社(経営共創基盤)は2番目のハンズオン、すなわち意思決定にかかわるクライアントのメンバーとして、計画の実行と、場合によっては自ら描いた計画に対して出資までもする、というタイプの会社です。

3分類の違いは、よい悪いではなく、それぞれの機能を求めている会社が世の中に存在する、つまりそれぞれの会社が提供する機能に、一定のニーズが存在する、ということです。したがって、どれが優れている・優れていない、の話でもありませんし、個々の会社には当然ながら非常に優秀な方たちが多数いらっしゃいます。

コンサルへの転職は難しい

ではR.K.さんにとって、転職の可能性という意味での現実的な視点を考えると、まず30代半ばで、なおかつコンサルタント経験がないということですので、正直申し上げると可能性は決して高くはありません。

ただし特定分野で圧倒的な実績、つまり普遍的に横展開できるようなスキルと経験、そして思考回路とコミュニケーション力を持っていれば別です。たとえば、海外子会社の立ち上げとその後の発展をマネジャーとして引っ張る過程で、地域におけるビジネスの特性や法規制などをきちんと体系的に理解をしていれば、そのスキルを求めるコンサルティング会社はあるでしょう。

一方、R.K.さんが究極的に求めているのは、事業会社における組織の活性化や経営とのこと。コンサルは、決してそのようなことばかりが仕事ではありません。十分に検討をする必要があります。

すでに中小企業のマネジャー

コンサルへの転職をお勧めできないと結論を急ぐ前に、選択肢②の「中小企業のマネジャーとして転職する」を考えますが、これも魅力的には思えません。

R.K.さんは30代半ばでそれなりの経験を積んでおり、現在もそれなりの立場なのですから、勤務先という箱を変えて、マネジャーという肩書を手に入れること自体が重要なのではなく、「何を経験するか」のほうがよほど重要です。そう考えますと、現在は上場企業の「海外子会社という中小企業」に勤務されていますので、選択肢②と選択肢③の「現職にとどまる」は、実質的に同じだと思います。

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