新日鉄・住金合併の真相、韓国ポスコが火付け役
2012年10月の経営統合に向けた検討を開始すると発表した鉄鋼国内最大手の新日本製鉄と3位の住友金属工業。統合が実現すれば、売上高は単純合算で5・5兆円、粗鋼生産量4700万トンを超す、世界2位の巨大メーカー誕生となる。
新日鉄と住金は、2002年に資本提携。03年にステンレス事業を統合し、05年と07年には相互に株式を追加取得するなど、かねてから関係は深かった。
それが合併まで発展した理由は、世界に打って出るためだ。「両社の資金が活用でき、同じ地域へ重複して投資することもなくなる。その分はほかへ回せる。グローバル化を担う人材も逼迫しており、統合により人材が捻出できる」と新日鉄の宗岡正二社長は説明した。
世界の鉄鋼業界は勢力図が激変している。新日鉄は生産量でかつて世界一だったが、相次ぐ買収によって巨大化したアルセロール・ミタルに圧倒的な差をつけられ、09年には中国の宝鋼集団にも抜かれた。「技術力でトップではあるが、一定規模がないと国際市場でプレゼンス(存在感)が低下してしまう」(UBS証券の山口敦シニアアナリスト)。
しかし、収益基盤である国内の鉄鋼需要は先細り。成長のドライバーを海外に求めざるをえない。