「生涯未婚率の数字」なぜか2つ存在するカラクリ 男性は「25.7%と28.3%」どっちが正しい?

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2020年の生涯未婚率が突然上がったのには理由があった(写真:himi/PIXTA)
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国立社会保障・人口問題研究所(社人研)による2020年の「人口統計資料集」が発表されました。

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その中に生涯未婚率(50歳時未婚率)のデータもあり、私が以前公開した数字と違うというご指摘を多数いただきました(参照:『女性の生涯未婚率」東京を抜き1位の「意外な県」』)。

しかし、これはどちらかが計算間違いをしているという話ではなく、ベースとなる数字と計算式の違いによるものです。

私の計算は、2020年国勢調査(総務省統計局)の人口等基本集計の確定結果を基に、従来の計算方法である配偶関係不詳を除いた未婚率計算で、社人研が採用したのは、総務省統計局が参考表として出した「不詳補完値」によるものです。

不詳補完値で計算すると

従来の計算方式では、2020年の生涯未婚率は男25.7%、女16.4%となりますが、不詳補完値で計算すると、男28.3%、女17.8%と、男女とも数字があがります。

注意していただきたいのは、社人研にて計算方法を変更したのは2020年だけではなく2015年のデータも遡及修正されている点です。長らく2015年の生涯未婚率は、男23.4%、女14.1%が正とされてきました。

少なくとも最近まで、私に限らず、政府やメディアおよび有識者が使う数字はこれに統一されていたはずです。しかし、社人研が今回、不詳補完値を採用したことで、2015年の生涯未婚率は男24.8%、女14.9%に修正されています。

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