よって私は12月の時点で、従来どおり、配偶関係不詳を除いた数字にて全国および都道府県別の生涯未婚率を計算し公開したわけです。しかし、今回の社人研はあえて参考表である「不詳補完値」を採用しました。その見解についても、社人研に問い合わせをしました。回答の概略は以下のようなものです。
「不詳が増えるにつれて不詳の扱い方が指標に与える影響が増しており、不詳が今後さらに増える可能性を考慮すると早めに変更したほうがよいと考えた。また、総務省統計局から今後も不詳補完された統計表が公表される可能性が高いことなどを考慮し、このタイミングで2015年以降は配偶関係不詳補完統計表値を掲載することにした」
社人研の人口統計は、国をはじめとする各種資料の大本のデータであるため、今後2020年の生涯未婚率は前述したとおり、男28.3%、女17.8%が正式データとして使用されることになるでしょう。
社人研の判断に異を唱えるつもりはありませんが、不詳補完値が出ている2015年と2020年の2つの比較をする場合はともかく、従来の計算方法での数字しか存在しない2010年までの推移と混同させてしまうのはさすがに無理があると思います。
よって、面倒くさいのですが、本来ならば、不詳を除く従来の方式と不詳補完値を併記させてデータを掲出するのがもっとも適切だと思います。
今後はデータの見方に注意が必要
もう1つ悩ましい問題があります。不詳補完値はあくまで参考表であり、原票は相変わらず不詳は不詳として実数掲載されています。今後、条件に応じて細かいクロス集計などで分析する場合には、「不詳あり」の従来の計算式を使用せざるをえない場合が生じてきます。
つまり、少なくとも今後5年間は、「不詳除く数値」なのか「不詳補完値を使った数値」なのかの注釈を入れたうえで公表する必要があるし、見る側も「これはどっちの数字」か理解しておく必要があります。
せっかくなので、一度従来の計算方法による都道府県別の生涯未婚率データは当連載上で公開していますが、不詳補完値によるランキングもご紹介しておきましょう。
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