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戦争やパンデミックが「予測不可能」である理由 歴史家がカオス理論から読み解く「大惨事」

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惨事のときには、非集中型のネットワーク内のものであれ、指導者のいない群衆としてのものであれ、一般大衆の行動のほうが、指導者の決定や政府の発する命令よりもなおさら重要になりうる。

新しい脅威に直面したとき、合理的に適応する人もいれば、傍観者として受動的に行動する人もいるし、否定したり反抗したりする人もいるのは、どういうわけか?

そして、天災が政治的惨事の引き金となって、不満を抱いた人が徒党を組んで革命を目指す事態に陥ってしまいうるのはなぜか? 群衆は何が原因で分別から狂気へと転じるのか?

群衆の狂気と伝達のネットワーク

その答えは公的領域の変化し続ける構造にある、と私は言いたい。なぜなら、惨事を直接経験するのはほんの少数の人でしかないからだ。それ以外の人は、何かしらの伝達のネットワークを通して、それについて知る。

17世紀にさえ、創成期の大衆紙が人々の心に混乱の種を蒔くことができ、1665年にロンドンを襲ったペストを調べたダニエル・デフォーもそれに気づいた。

インターネットが出現したせいで、誤情報や偽情報が拡がる可能性が大幅に高まり、2020年には、生きたウイルスによるものと、なおさら感染力が強い、ソーシャルメディアでウイルスのように急速に拡がる誤解や虚偽によるものという、双子の疫病が流行したと言えるほどだ。

後者の流行は、大手テクノロジー企業に適用される法律や規制の有意義な改正が行われていたなら、2020年にそこまで深刻にならずに済んだかもしれない。

ところが、現状が看過できないことを示す証拠が2016年以降あり余るほどあったにもかかわらず、ほとんど何の手も打たれなかった。

(翻訳:柴田裕之)

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