看護の日に考える「あえて人に触れる病院」の真意 愛媛県今治市・美須賀病院「て・あーて」の挑戦

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愛媛県今治市・美須賀病院が行う、患者に手で触れる看護を重視したケア「て・あーて」とは?(写真:筆者撮影)
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新型コロナウイルスの感染拡大で、過酷な労働がよく知られるようになった看護師。もともとコロナの流行以前から、看護師の10人に1人が恒常的に辞めている。ただ、看護師が辞める理由は長時間労働や夜勤の多さだけでない。

日本医療労働組合連合会の調査では、「十分な看護ができていない」と感じることも離職の一因になっている。実際、筆者の取材でも、「患者さんにもっと丁寧に接したい。眠れない患者さんに睡眠導入剤を使うのではなく、足浴したり、背中をさするような触れるケアをしてあげたい」といった看護師の声は大きい。

愛媛県今治市にある美須賀病院(99床)では、患者に手で触れる看護を重視したケア「て・あーて」を実施。同病院の看護師たちは「仕事にやりがいがある」「看護師になって良かった」と口を揃え、長く働き続ける人も少なくない。

5月12日はフローレンス・ナイチンゲールの生誕にちなんだ「看護の日」。美須賀病院の取り組みから、現場で必要とされる看護について考えたみたい。

愛媛県今治市にある美須賀病院の「て・あーて」

「足首はくるくる回せますか?むくみが引いてきたから、少し楽になると良いですね」

美須賀病院のある今治市は人口15万人。病院は市中心部にあり、今治城に隣接する(写真:筆者撮影)

コロナの第6波がくる直前、愛媛県今治市の中心部にある美須賀病院を訪ねると、病室では入院患者への「て・あーて」が行われていた。「て・あーて」とは、看護界の重鎮である日本赤十字看護大学の川嶋みどり名誉教授による造語で、「患者に手を当てる看護によって、患者の自然治癒力を引き出す」という意味が込められている。「て・あーて」のひとつとして、患者へのオイルマッサージが行われる。

地域密着型の美須賀病院には、一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟があり、リハビリを得意とする。病気が原因で手足がむくんで普段の倍近くに腫れることもあり、患者は疲れやだるさ、痛みなどの苦痛を感じることが多い。看護師が「て・あーて」として患者の手足にオイルマッサージをしながら患者とコミュニケーションを図り、むくみの改善も狙う。

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