オバマ大統領が一般教書で語った真実とは? 事実を「曲げて」伝える日本の大手メディア

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ところが!!

よくあることなんですが、日本のメディアは全く違う報道をしております。

誤解を与える日本の大手メディア報道

各社ほぼ同一なのですが、例えば朝日新聞は

テロ組織壊滅へ決意表明 オバマ米大統領が一般教書演説

と見出しをうち、「中東で勢力を広げる「イスラム国」などの過激派組織に関し、「テロ組織を追い詰め、彼らのネットワークを解体する」と述べ、関係国と連携して掃討に力を注ぐ決意を示した」 とはじめに解説を打っています。

これではまるで、オバマ大統領が力強くテロとの戦いをする決意をしたことが演説の趣旨のようではありませんか? 多くの読者がそう考えたとしても全く不思議ではありませんね。

しかし、例えばワシントンポスト紙の報道は

Obama courts middle class
President urges “fair shot” for all in improving economy

オバマ大統領、中間層を支援

経済成長における公平な「富の分配」を急ぐ


と見出しを打ち、

Obama, In State of the Union, highlights tax reform, community college plans

オバマ大統領、一般教書で税制改革とコミュニティーカレッジ制度の充実を強調

と書きだしています。

朝日が書いたような、テロ組織壊滅への決断など、少なくともヘッドラインでは一言も書いていませんね。もちろん、日本においてはちょうど日本人がテロリストに拉致され、身代金を要求されているタイミングというのはあるかもしれません。

だからと言ってこの演説の論旨が曲げられてはいけないわけで、これではオバマ大統領は今年、アメリカの国内問題をそっちのけでテロとの戦いに邁進する、と読者が誤解しても仕方ありません。

意図的に歪曲しているとは思えませんが、少なくとも演説の趣旨はまずきちんと伝え、そのうえで、テロ組織撲滅へも決意を表明した、としなければ大統領の趣旨は伝わってきません。今回の教書の大事なエッセンスの一つはあくまでも、アメリカは大成長に邁進し、世界の話は二の次、と言うことなのです。

その意味では、欧州で何が起きようが、中南米で何が起きようがアメリカはあまり介入しませんよ、と言うメッセージと受け止めていいかもしれない程で、日本のメディアを読んでいるとこのあたりを大きく誤解する可能性があります。

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