中国BEV市場で「ホンダが大苦戦」する3つの理由 「シェア1.5%」から飛躍するために何が必要か
1つ目は、従来のガソリンモデルとの「差別化」だ。ホンダは2018年に中国専用BEVの理念「VE-1」(広汽ホンダの自主ブランド)を投入し、2019年にはX-NV (東風ホンダの自主ブランド)を投入した。
中~高価格帯の人気BEVの航続距離は概ね500km以上であるため、400kmに過ぎないX-NVは、販売価格を16.9万元から8万元へと大幅に引き下げたものの、振るわなかった。そこで、東風ホンダは2020年末に航続距離480kmの「M-NV」を投入している。
VE-1、X-NV、M-NVは、いずれも先代「ヴェゼル」をベースとし、現地で開発したEVであるが、ブランドの認知度が広がらず、VE-1とM-NVの販売台数は2021年にそれぞれ1784台、3400台にとどまっている。
中国SUV市場で外資系トップの販売台数を維持している「CR-V」にしても、PHEV(プラグインハイブリッド)モデルの販売台数は9208台に過ぎないことから、ガソリン車市場で構築した「ホンダSUV」のブランド力が、電動化モデルの販売増につながらなかったといえる。
こうした中で今後、中国でホンダがBEV販売を増やすには、専用プラットフォームで生産されたモデルが必要となるだろう。
一方、BEV専用工場の稼働時期(2024年)を勘案すれば、ガソリン車ベースのBEVモデルで、中国政府の新エネルギー車生産義務をクリアすることは簡単ではないと思われる。
もっとも多い中間層が難しい
2つ目は、大衆向けのBEV市場への浸透だ。中国におけるBEV乗用車の販売台数は、2020年に100万台、2021年には273万台となった。特に、低価格BEVと高級BEVの需要が市場の拡大をあと押ししている。
爆発的に売れているのは、「上汽通用五菱汽車」が発売した小型BEV「宏光MINI EV」だ。航続距離こそ短いものの、電池容量が少ないために家庭でも一晩で満充電にできる利便性がある。
価格も日本円で60万円を切る手頃さであるため、公共の充電インフラが不足する中小都市や農村部を中心に人気が高く、2021年の販売台数は39.5万台にもなった
一方で、上海の工場で生産されるテスラ「モデルS」と「モデルY」は、中国での高級BEVのブームを牽引し、その販売台数は累計32万台に達している。2021年12月には、単月で7万台もの販売台数を記録した。
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