なぜ日本では「イーロン・マスク」が出ないのか 大谷翔平や佐々木朗希は立派な世界一級なのに

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日本にマスク氏のようなゲームを行うプレーヤーはいないのか。国民は皆おとなしくマスクを着用しているのだが、日本国内で同様のゲームは展開しそうにない。

振り返ると、かつて堀江貴文氏が率いるライブドアがフジテレビを買うことができなかったあたりが、日本社会の分水嶺だったかもしれない。新興のビジネスマンが地上波の「チャンネル8」を持つことを、社会に影響力を持つ人々は快しとしなかった。

今のアメリカで「マスクが、ツイッターを買うのか。面白そうだな」と人々が事態を受け入れるようには、「ホリエモンが、あのフジテレビを買えるんだ。何をするつもりなんだろう。面白い時代だな!」と、2000年代の初頭に偉い大人たちは思わなかった。

ちなみに、現在のフジ・メディア・ホールディングス社の時価総額は2600億円と少々だ。マスク氏によるツイッター社の買収額があれば、なんと20社ほど買える計算になる。筆者が心配する問題ではないのだが、残念な評価だ。

「外れ値」の人を大切に

少々古くはマイクロソフト社を創業したビル・ゲイツ氏、アップル社を飛躍させたスティーブ・ジョブズ氏、そして最近活躍の著しいイーロン・マスク氏のような、世界を大きく変えた人たちは、個性としてはかなり規格外の「外れ値」のような人々だ。

もちろん、のちの成果の大きさから逆算するから彼らが外れ値に見えるという面もあろうが、「外れ値」の人を大いに生かさないと社会は変わらない。日本にもたぶん彼らのような「突出した資質」を持った個人はいるのだろうが、社会が十分生かしていないのだろう。

近年思い浮かぶ「突出した資質」を発揮した人は、冒頭で挙げた佐々木朗希選手に同じく野球の大谷翔平選手、それに将棋の藤井聡太五冠くらいのものだが、いずれも天才を生かすシステムを持った芸事の世界の人たちであって、残念ながら、ビジネスや政治などでわれわれの生活を変える世界で活躍する人たちではない。

では「外れ値」の人を生かすにはどうしたらいいのだろうか。

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