ナスダック100指数が年初来安値、急落の「なぜ」 FRBが物価高騰の抑制で積極的に行動すると示唆

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中国での新型コロナウイルス感染増加や欧州での戦争に加え、大手テクノロジー企業の無敵ぶりに関する認識の変化が、ナスダック100指数急落の背景にあるようだ。

ナスダック100指数は26日に3.9%下落し、構成銘柄でこの日上昇したのは2銘柄のみ。電気自動車(EV)メーカーのテスラが12%安と、下げを主導した。一方、経営赤字のハイテク企業の動きを追跡する指数は一時5%下落し、3月半ば以来の安値に接近した。

エセックス・ファイナンシャル・サービシズのチャック・クメロ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「今の相場はただ下がりたいだけだ」と電話インタビューで語った。

  

今年初め以来の株式市場のボラティリティーには多くの要因があった。特に、米連邦準備制度が物価高騰の抑制で積極的に行動すると示唆したことが大きく、金利変動に特に敏感なハイテク株が多いナスダック100指数の重しとなり、1月の高値から20%下落した。

今のハイテク株急落の要因を巡る5人の見方を以下にまとめた。

「時勢に逆らう」

ネットフリックスが先週、予想外の会員数減少の発表後に急落したのを受け、投資家は今の環境でセンチメントがいかに急変し得るかを目の当たりにしたと、EPウェルス・アドバイザーズのポートフォリオ戦略マネジングディレクター、アダム・フィリップス氏は指摘。金利上昇が見込まれる中で「これらの銘柄は時勢に逆らって進むことになる」と述べ、「ネットフリックスで目にしたように、今回の決算発表シーズンは運命を左右する瞬間となるだろう」と付け加えた。

中国のサプライチェーン問題

CFRAのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーバル氏は、中国における新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)に注目していると言う。中国では感染拡大を阻止するため住民の外出が制限されており、こうしたロックダウンがテクノロジー企業のサプライチェーン問題を悪化させ、需要を弱める恐れがある。

ストーバル氏は「上海や中国の他の都市の閉鎖で、ハードウエアに使用されている部品の多くが世界に出荷できない状態にあり、テクノロジーの観点では下押し圧力だと思う」と指摘。「さらに、人々が外出できないなら、商品を買えない人もかない多いということになる」と述べた。

サプライチェーンのもう一つの懸念

サプライチェーンを巡るもう一つの懸念は、ロシアがウクライナで消耗戦に従事する決意が見えていることだ。これは、一部の原材料や食糧の不足が「長期にわたって続き、インフレ抑制がはるかに困難になることを意味する」とミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は分析。高インフレの長期化は金利上昇につながり、「大手ハイテク企業の業績にはプラスでない」のに加え、ロシアが核戦争のリスクを警告したことも助けにならないと付け加えた。

金融政策の先行き不透明感

チャールズ・シュワブのチーフ投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏にとって、年内の米利上げ回数を予測することはほとんど意味がないという。

0.5ポイントの利上げを2回連続実施することが市場に織り込まれているが、ソンダース氏は夏以降の動きはほとんど明確になっていないと指摘。「以前は、米金融当局は事前に決められた方向に進んでいた。バランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)であれ利上げであれ、どう計画しているかを伝えていた」が、「今回はそうせず、今後数回の会合での0.5ポイントの利上げを強く示唆しているだけだ」と語った。

オーバーシュート?

モネタのイーフィン・デビット最高投資責任者(CIO)は市場にとって最大のリスクは何かと問われた際、ウクライナでの戦争や中国の新型コロナ感染増加などに言及した上で、米金融当局による過度の政策引き締めの可能性がリスト上位にあると回答。「長期にわたる金融緩和とインフレ高進という点で前例のない状況にあるだけに、当局が積極的な姿勢をとるには多少時間がかかったようだ」と電話取材で話した。

原題:

Nasdaq Hurtles Toward Year Low: Five Views on What’s Behind Drop(抜粋)

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著者:Vildana Hajric、Isabelle Lee

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